髪技理容師を探せ Vol. -MOBO-DREAD 松本 信

今回は以前バーバーなびでご紹介させていただいた床屋オカベHAIRCUT 岡部 勝彦さんにご紹介いただき、MOBO-DREADの松本さんを取材させていただいた。松本氏は理容師歴46年、祖父の代から続く約100年の歴史を持つ理容室を受け継ぎ、現在は「ドレッドのお医者さん」を目指して日々技術を磨き続ける、こだわりの髪技理容師だ。

Profile

Makoto Matsumoto (松本 信)

MOBO-DREAD 

理容師歴:46年
出身校:東京綜合理容美容専門学校
出身地:東京都
得意技術:ドレッド
得意スタイル:ドレッドでしたらなんでもご相談ください
こだわり:三つ編みから作るのではなく、独自の絡めるドレッド作り
趣味:音楽・バンド・釣り・カメラ・爬虫類

MOBO-DREADについて

まずはサロンへの道順を案内しよう。江古田駅南口を出ていただき右に進む。左手に牛繁とランチタイムという飲食店が見えたら左折し、直進する。十字路を過ぎると、右手にラスタカラーのサインポールがあるビルの2階がお目当てのサロンである。

7割のお客様がドレッドを注文されるという店内は、多趣味な松本氏のセンスでレゲェ調のインテリアや楽器が置かれている空間だ。ドレッドヘアにお悩みを持つ最後の駆け込み寺として著名な方もお忍びで利用されるサロンだ。

お店の簡単な紹介が済んだところで早速、松本氏のインタビューを進めていくとしよう。

MOBO-DREAD 松本 信氏

理容師を目指したきっかけ

バーバーなび:こんにちは、本日はよろしくお願いします。まず松本さんが理容師を目指すことになったきっかけを教えてください。

松本氏:よろしくお願いします。最初は理容の道なんて全然考えてなくて、大学でデザインを学びながら音楽もやれたら良いなと考えていました。高校2年の時に父から「理容学校に行くなら、ギターアンプを買ってやる」と言われたんですよ。当時60万円くらいするギターアンプなんて夢のまた夢だったので、「それなら床屋になろう!」と決心して進路変更しました。なので、理容を選んだ理由はギターアンプが欲しかったからなんです(笑)

理容の学校に通いながら音楽も頑張りました。事務所から声をかけてもらえるくらい活動をしていて、「今は音楽をやりたい!」という思いが強くなり、父にその気持ちを相談したこともありました。かつて父も音楽活動をやっていたので、少しは気持ちを理解してくれていたと思います。そんなタイミングで父が倒れてしまい、三ヶ月ほど仕事が出来ない状況になってしまったんです。それがきっかけで「音楽を続けるか、理容に集中すべきか」本気で考えました。その結果、レコーディングやライブの予定も全部キャンセルして、理容に専念しようと修行をさせてもらえるサロンを探すことにしました。その後、理容を続けていく中でレゲエに出会ってドレッドヘアに興味を持つようになりました。「自分の店を持ったら、これを絶対に強みにしたい!」と思い、それが今のサロンのスタイルに繋がっています。

バーバーなび:初めは音楽・理容ともに取り組み、その中でレゲエにも出会い、今のこのサロンのスタイルに繋がっていたのですね。

松本氏:最初は志高く理容を目指したわけではなく、手探り状態でしたが、その中で自分のやりたいことを少しずつ見つけながら、なんとかここまでやってこれたと思います。昔は理容科の学生はダサいと馬鹿にされがちで、かっこいいイメージがある業界ではなかったので、今は時代が変わって良いイメージにもなりましたよね。

若い頃に勤めていたサロンはコンクールに注力しているお店で正直追い込まれていた時期もありましたが、しっかり修行させてもらいました。ただ、修行中もずっと頭の片隅には「ドレッドやりたいな」という気持ちがあったので、いつか自分の店を持って、ドレッドを自分の強みにできるサロンを作りたいと、その頃からぼんやりと思い描いていましたね。

理容業界への思い

バーバーなび:理容業界全体に対してどのような思いや考えをお持ちですか?

松本氏:業界の流れを見ていると、理容の世界もここ数年で大きく変わってきたなと感じます。例えば、有名なバーバーショップが注目されるようになったのも大きな変化ですよね。元々は美容室から始まったところもありますが、髭やタトゥーを取り入れたスタイルでバーバー文化を広めてくれたおかげで、理容業界全体が活気づいたと思います。おかげで、理容師を目指す若い人も増えてきて、高校卒業後に「床屋になりたい」と考える子が多くなったのは、本当に嬉しいです。

昔は「理容師」という職業に憧れる人は少なくて、二代目や学校で進路に迷った人が選ぶケースが多かったように思います。でも今は「かっこいい職業」として見られるようになってきたし、この流れを作ってくれた人たちには足を向けては寝れないくらい恩恵を受けましたよね。

あとは僕自身、研究団体に参加していた時期がありましたが、その中で若い世代の意見がなかなか受け入れられない場面も多々ありました。斬新なアイデアを提案しても、「時代に合わない」と否定されることもありました。でも、そういった経験があったからこそ、自分のやりたいドレッドを今こうして集中してできているので、自分らしい道を切り開くきっかけになったと思うんです。

バーバーなび:理容業界の中でも少しずつ変化を起きて、良い流れにもなってきているということですね。

髪技理容師としてのこだわり

バーバーなび:それではこだわりを教えてください。

松本氏:僕はドレッドがやっぱり好きなので、ドレッドに対しては、「本物を作る」というこだわりがあります。単なるヘアスタイルではなく、文化や個性を表現するものとして捉えているので、技術はもちろんですが、一人ひとりのお客様に合わせた最高の仕上がりを提供することを大切にしています。

だからこそ、自分が情熱を注げるドレッドを追求しながら、この職業の素晴らしさを伝えていきたいと思っています。長くドレッドと付き合えるための直し方や関わり方にもこだわっているので、ドレッドに悩んでいる、困っている人や、他でやったドレッドが違うなと思ったりした人へ本物のドレッドを提供したいです。

バーバーなび:かっこいいイメージがある中で、デメリットもあるのでしょうか。

松本氏:はい、もちろんデメリットもあり、手入れにも手間がかかります。だからか、僕のようにドレッドにこだわりを持ってやっている人は少なくなってきていると感じます。昔だったら給料袋をそのままも持ってきて「これでお願い!」といったように価値のあるものでしたが、今は時間をかけて丁寧に作り上げたドレッドでもすぐにやめてしまう人がいると「勿体ないな」と思うこともあります。ドレッドを普通のパーマ感覚で捉えて来られると「違うな」と感じてしまうケースもあるので、ドレッドの魅力も含め特徴なども、より認識してもらえるようにしていきたいですね。

お客様へのメッセージ

バーバーなび:どのようなお客様にお店に来て欲しいですか?

松本氏:音楽が好きな方や、ドレッドに対してこだわりや愛情を持っている方に来ていただきたいです。ドレッドに特化したお店として、他には負けない自信を持っているので信頼して選んでいただけると嬉しいです。

バーバーなび:ドレッドスタイルを好む方々の紹介なども多いイメージですが、いかがでしょうか。

松本氏:そうですね。お客様の多くは既存の方からのご紹介が中心です。「紹介で来ました」と言われると、やっぱり信頼を持って来ていただけていると感じますし、その分こちらも全力で対応したいという気持ちになります。今は一日の施術人数は平均で5人ほどで、カットメニューに比べると人数は少ないですけど、それだけ一人ひとりにしっかり時間をかけてスタイルを作り上げたいですね。

バーバーなび:他店からのリペアの方もいらっしゃいますか。

松本氏:多いですね。ドレッドは時間と手間がかかるので、リペアだと一人あたり3〜5時間ほどかかりますし、新規だと10時間〜丸二日かけてやることもあるので、どうしてもリペアの割合が多く、新規の方に割ける時間は限られてしまいます。ドレッドは根気がかかる分、本当に好きじゃないとできない分野だなと思いますが、完成したときの喜びが大きいし、お客様と一緒に作り上げるスタイルになるので、どんな時も僕ができる「最高のドレッドを提供したい」という思いを持ちながら対応させてもらっています。

バーバーなび:根気がいる分、完成した時の達成感と感動にみなさん魅了されているのですね、素敵です!

未来の理容師に向けたメッセージ

バーバーなび:理容師を目指す若者に向けたメッセージをお願いできますか

松本氏:就職時期になると毎年ドレッドを勉強したいと学生さんから問い合わせが来るのですが、みんなに伝えているのが「まずはカットを勉強してきてください」ということです。今はフェードが流行っているけど、僕の時代は刈り上げがなかった時代なので、ベーシックなレディースカットを練習していました。今の流行りばかりを練習していたら、そこがなくなってしまうとどうなってしまうんだろうって話になってくるわけだから、理容の基本中の基本であるカットをまずは練習するべきだし、ドレッドをやるにしてもバランスを考えられなければいい仕上がりにはならないので、まずは理容師を目指す人にはカット技術を磨いてほしいです。

バーバーなび:基礎の部分が本当に大切になってくるんですね。

松本氏:初めは僕自身も何もわからない時期から、ドレッドがやりたいって思っていたので、学校で習わないアフロヘアをどうやったら上手くできるのかって自分の髪で試したり奥さんに手伝ってもらったり、時には池袋にいる海外のドレッドヘアの方に片言の英語で喋りかけて触らせてもらったりして、研究したりもしました。僕の技法で「絡めるドレッド」は、この試行錯誤の中、奥さんが編み物で使っていたかぎ針がヒントとなって生まれたものなんです。なので、そのきっかけをくれた奥さんには本当に感謝しているし、これからもさらに極めていきたいと思っています。こうしてお店を続けられていることにも感謝しかないので、やっぱり好きなことを追求できるのは幸せですね。

バーバーなび:素敵なメッセージをありがとうございました。

最後に

バーバーなび:本日はお忙しい中取材のご協力いただきありがとうございました。最後に松本さんおすすめのメニューと作例を紹介してもらえますか?

松本氏:はい。こちらこそありがとうございました。おすすめのメニューを3つご紹介します。

髪技理容師おすすめメニューアフロドレッド  ¥55,000~

モデル写真提供:MOBO-DREAD

髪技理容師おすすめメニューナチュラルドレッド ¥44,000〜

モデル写真提供:MOBO-DREAD

髪技理容師おすすめメニューリペア ¥11,000~

モデル写真提供:MOBO-DREAD

※全て長さ本数、時間により変動します。

店舗基本情報

店舗名MOBO-DREAD 
住所東京都練馬区栄町6−12
営業時間・定休日営業時間:11:00〜21:00
定休日:毎週月曜日、第2.3火曜日
最寄駅沿線都営大江戸線・西武池袋線
最寄駅新江古田駅・江古田駅
電話番号03-3991-8688
ホームページhttp://mobo64.com/index.html

メニューや店舗詳細はこちらから


理容師特集TOPペー

G-NQ3470CRKN