今回は以前バーバーなびでご紹介させていただいたKnow Your Barber伊東 宏祐さんにご紹介いただき、TAKUMIC BARBERの石原 匠さんを取材させていただいた。石原氏は理容師歴24年、今の理容業界が変わるべき点を鋭く見つめ、次世代につながる理容師としての在り方についてもしっかりとした考えを持つ髪技理容師だ。
Takumi Ishihara(石原 匠)
TAKUMIC BARBER
理容師歴:24年
出身校:中央理美容専門学校
出身地:千葉県
得意技術:メンズショートカット
得意スタイル:クロップスタイル
こだわり:ノーセットでもセット時でも再現性が高い仕上がりにすること
趣味:ゴルフ・スポーツ観戦
TAKUMIC BARBERについて
まずはサロンへの道順を案内しよう。京成本線大神宮下駅より徒歩2分、改札を出ると右手にある信号方面へ進み、大神宮デンタルクリニックを右折、セブンイレブン前の信号を渡ると黒い外壁とガラス越しに見えるサインポールが目印のTAKUMIC BARBERが見つかるだろう。
店内には石原さんの趣味が散りばめられ、雑貨やインテリアにもこだわり、居心地の良さも感じられるに違いない。高いカット技術はもちろんのこと、心地よいシェービングとこだわりのスパが病みつきになると評判のサロンだ。
お店の簡単な紹介が済んだところで早速、石原氏のインタビューを進めていくとしよう。
TAKUMIC BARBER 石原 匠氏
理容師を目指したきっかけ
バーバーなび:こんにちは、本日はよろしくお願いします。まず石原さんが理容師を目指すことになったきっかけを教えてください。
石原氏:よろしくお願いします。実家が床屋だったので、物心ついた頃から自分は床屋になるんだと思っていました。僕の保育園の卒業アルバムにある将来の夢には、周りが野球選手と夢をつづる中、びっくりすることに全く記憶にはないのですが、「床屋」と書いてありました。これを見た時、僕は無意識に自分は将来、床屋になると決めていたのだと感じたのを覚えています。
バーバーなび:ご実家の影響が大きいのですね。床屋になることに迷いはなかったですか。
石原氏:心の中では床屋一筋だったのですが、専門学校入学前に美容ブームがあったことから、母に「美容の道に進もうかな」と打ち明けたことがありました。しかし、母は「美容やるなら理容にしなよ」と理容の道を勧めてくれたことと、アパレルが好きだったことからアパレル業界に進もうと思ったこともありましたが、「手に職をつけるには理容か」と思い、アパレルはそれからでもできるなと考え、理容専門学校に行きました。元々いとこが通っていたり、いとこの他にも、祖父・祖母・叔父・叔母が理容師という理容家系で育ってきたことも影響がありましたね。
理容業界への思い
バーバーなび:理容業界全体に対してどのような思いや考えをお持ちですか?
石原氏:今現在の理容業界の中でどうしても固定概念が強く、変わろうとしないところがあるなと感じています。どこか外からのブームを受け入れない、中の人たちだけでやってしまいがちなところが原因で、昔から変わらない点が多いと思います。僕はバーバーブームが起きたことで、大きく理容が変わってきていると思うと同時に、そこにうまく乗っかっていこうと感じましたし、これからの理容はもっと視野を広げていくべきだと思います。そのためには他業種へ目線を向けることも重要ですよね。
バーバーなび:そのために石原さんが取り組んでいることなどがあれば教えていただけますか。
石原氏:実際僕が何かをしたということはないですが、この仕事は技術職なので、仕事終わりに自主練の風習が普通になってしまっていることに違和感を感じています。残業なのに、残業という概念がないところがありますし、正直しんどい部分だと思うんです。海外だと営業時間内でやることはやって、トレーニングは別のところで行うって風潮が当たり前なんですよね。終業後での自主練という風習は受け入れづらい環境でもあるので、ここはサロンワークとトレーニングをもっと時代に応じてはっきりと分けるべきだと思います。
これは、理容業界の人材不足にも大きく繋がる課題だと感じていて、今はお店がたくさん増えていても人が足りないので、若い人がどんどん入ってきてくれないとお店を続けることが難しいことは事実です。でもこの閉店後も終わらない課題があるといった習慣を変えていかなければ、転職が他業種含めて多い時代だから、やめていく人が増える悪循環が生まれてしまいます。なので、高い技術を求められることは当然だけど、技術を高めるためのトレーニングを営業時間内でできる環境を作るとか、勤務スタイルを変えていくことが必要だと思うんです。時代に応じてシステム的なものをもっと業界全体で変えていけたらいいと思いますね。
バーバーなび:理容業界の環境がよくないってイメージがまだまだあるので業界全体での変化が求められていますね。
石原氏:そうですね。僕の娘が美容の道に進むと言ってくれているのですが、正直なところ親としては心配な部分もあります。この業界は、勤務時間の長さ・低賃金・休みの少なさという“3重苦”と呼ばれる側面があり、自分も経験してきた道とはいえ、好きでないと続けるのは難しい仕事です。やめていく人を近くで見てきたからこそ、今の時代の流れに合わせて、理容業界全体が視野を広げて少しずつでも変わっていってくれることに期待しています。
髪技理容師としてのこだわり
バーバーなび:それではこだわりを教えてください。
石原氏:サロンで働く以上、私たちはお客様に選んでいただく側であり、常に見られている立場の職業です。だからこそ、立ち振る舞いや雰囲気を通じて「憧れ」とまではいかなくとも、好感を持ってもらえるように意識しています。今の時代、SNSを通じて人柄やサロンの雰囲気が伝わることもあるでしょうし、うちのように窓越しに中の様子が見えるサロンだと、「髭を生やしている人なんだ」「こんなインテリアを好むんだ」といった印象を持たれることもあると思うんです。
バーバーなび:些細な言葉や仕草で印象が変わることがあるので大切な部分ですね。
石原氏:接客中の何気ない会話の中でも、親近感を持ってもらえるように、日々の生活の中でネタを探したり、次にあのお客様にこの話をしてみようと考えたりしています。これがサロンのイメージに直結する部分もあると思っているので、お客様が来店されたときの僕への第一印象を含め、他の人からどう見られているかにも意識を向けています。
バーバーなび:僕が入店した際、石原さんに声をかけていただいた時の明るい雰囲気がとても印象的で、それがきっとお客様にも伝わっているのだろうと感じました。
石原氏:ありがとうございます、とても嬉しいです。お客様にもそのように感じていただけることが、何よりの励みになるので、今後もその気持ちを大切にしていきたいと思います!
お客様へのメッセージ
バーバーなび:どのようなお客様にお店に来て欲しいですか?
石原氏:僕の技術を求めて来店してくださることはもちろん嬉しいことですが、それだけでなく、お客様に「何かリフレッシュできたな」「またこの話をしたいな」と思っていただけるような、髪を切る以外の部分でも満足して帰っていただけたらとても嬉しいです。ですので、僕とシンパシーの合う方にぜひ来ていただけると嬉しいですね。お客様との波長が合うと、自然とお互いに心地よく過ごせると感じますし、そういったひとときを提供できることが僕にとって大きなやりがいに繋がっています。
バーバーなび:シンパシー大事ですね。Instagramの投稿でも拝見しましたが、店内に飾られている雑貨やインテリアを興味津々で見てしまいました。
石原氏:嬉しいですね、実はそこを意識して投稿している部分もあります。実際に僕がSNSで投稿している趣味に関する内容を見たことをきっかけに、うちに来店してみたと言ってくださる方もいるので、店頭にはバスケやスケボーに関連するアイテムを置き、外から見える位置にはヒップホップのポスターを貼っています。僕の部屋みたいになってしまっていますが、そこを見て「なんとなく感覚が近いのかな」と思って興味を持って来ていただけることや、反応をいただけることが嬉しいです。
未来の理容師に向けたメッセージ
バーバーなび:理容師を目指す若者に向けたメッセージをお願いできますか。
石原氏:この業界は、続けていったことの積み重ねで成果が出る業界です。執念と修行が求められる仕事ですが、この仕事の一番の魅力は「社会貢献ができていると実感できること」だと思います。僕自身、この仕事を10年つまらないと思っていましたが、続けていったことで面白くなることもあると感じています。そして、深く終わりのない業界であることに気づきました。だからこそ、常に向上心を持ち続けてください。理容という仕事は手に職をつけ、お客様から喜んでもらえることで、人に必要とされる実感を得られる本当に素晴らしい仕事です。だからこそ、僕はこの仕事を選んで良かったと心から思いますし、これから目指す方々には、大変なこともあると思いますが、決して諦めずに乗り越えていってほしいと思います。
バーバーなび:続けられたからこそ発信できる力強いお言葉ですね。
石原氏:ありがとうございます。自分が続けてきたことで見えた景色があり、またバーバーブームで理容業界が再び注目されるようになったことで、少しずつ業界も変わりつつあります。目指している先に良いことが待っていると信じて、この業界を目指してほしいと思います。
バーバーなび:素敵なメッセージをありがとうございました。
最後に
バーバーなび:本日はお忙しい中取材のご協力いただきありがとうございました。最後に石原さんからおすすめのメニューを紹介してもらえますか?
石原氏:こちらこそありがとうございました。こちらでございます。
髪技理容師おすすめメニューfull & headspa ¥7,500
モデル写真提供:TAKUMIC BARBER
店舗基本情報
店舗名 | TAKUMIC BARBER |
住所 | 千葉県船橋市宮本4-19-6 |
営業時間・定休日 | 10:00~21:00 |
最寄駅沿線 | 京成本線 |
最寄駅 | 大神宮下駅 |
電話番号 | ー |
ホームページ | https://www.instagram.com/takumic.barber/ |
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