シェービング＆エステサロン Glänz　石井 里美

バーバーなび：こんにちは、本日はよろしくお願いします。まずは石井さんが理容師を目指すことになったきっかけを教えてください。

石井氏：私は商業高校に通い、卒業後に理容室で働きながら資格を取得しました。本当は金融系の仕事に就きたいと考えていたのですが、就職氷河期でなかなか希望に合う求人が見つからず、進路に悩んでいました。そんな時、高校時代に友人の髪を切っていたことを思い出し、美容師を目指そうと考えたんです。しかし、当時通っていたサロンの方から「そんな甘い考えでは難しいのでは？」と厳しく指摘され、さらに、「女性同士のいざこざもある」と聞き、不安を感じました。その後、トリマーにも興味を持ちましたが、学費の面でハードルが高かったことと、理容室は男性のお客様が多く、女性同士の人間関係のトラブルが少なそうだと考え、理容の道を選ぶことにしました。

バーバーなび：そこから、シェービングに特化したサロンを開かれることになったきっかけを教えてください。

石井氏：カットやカラー、パーマがあまり得意ではなかったこともありますが、顔剃りを担当するうちに、毎月ご来店されるお客様のお肌がどんどん美しくなっていくことに気づいたんです。年齢を重ねるとシワやシミは避けられませんが、定期的なシェービングによってお肌のキメや艶が整えられることが分かり、とても興味を持ちました。そして、お客様が鏡を見て笑顔になられる姿を見ているうちに、「この技術でたくさんの方の美しさを引き出したい」と思うようになり、シェービングを中心としたサロンを開くことを決意しました。

バーバーなび：実際にお客様の肌の変化を目の当たりにし、その可能性を感じて、今のサロンの形になったのですね。

バーバーなび：理容業界全体に対してどのような思いや考えをお持ちですか？

石井氏：理容業界には、いまだに昔ながらのイメージが根強く残っていると感じます。その要因の一つとして、地上波のメディアで取り上げられる理容室のイメージが、古いまま固定されていることが挙げられるかもしれません。例えば、コントなどでは、理容師が白衣を着て、サインポールのある昔ながらの建物で働く姿が描かれることが多く、そうした印象が払拭されにくいのではないかと思います。また、「理容室は年配の男性が営み、年配の男性が通う場所」という固定観念があるため、シェービングの魅力が十分に伝わっていないと感じています。実際、お客様から「シェービングって理容師さんの技術だったんですね」と驚かれることも多くあります。理容師には、美容師とは異なる、きれいな刈り上げの技術があり、とても価値のある仕事です。その魅力をもっと広めていきたいですね。

最近では、エステ要素を取り入れた理容サロンも増えてきており、お客様もウェブやSNSを活用してサロンを選ぶ傾向が強まっています。業界全体として、こうしたデジタル分野にもっと力を入れていくべきだと考えています。理容組合も年齢層が高く、考え方が古い部分があるため、業界の枠を超えて勉強会などに積極的に参加し、新しい視点を取り入れていきたいですね。

バーバーなび：そのような部分含め、今後、取り組んでいきたいことはありますか？

石井氏：最近は、ウェブを見てご来店くださるお客様が増えていると実感しています。うちは「学芸大 シェービング」で検索すると上位に表示されるので、これは私にとって大きな財産です。長年続けているブログも、今後はさらに内容を工夫し、シンプルながらも濃密な情報を発信できるよう改善していきたいと考えています。

バーバーなび：バーバーなび：それではこだわりを教えてください。

石井氏：新規のお客様には特に、カウンセリングにしっかりと時間をかけることを大切にしています。目には見えないお客様の背景を、アンケートやカウンセリングを通じて丁寧に紐解いていきます。時には、初回のカウンセリングに20〜30分ほどかけることもありますが、それだけ重要なプロセスだと考えています。また、施術中も手で触れることで分かる情報や、カミソリを当てた際に感じ取れることがあります。それらをしっかりと見極めた上で、アフターケアや自宅でのスキンケアについて適切なアドバイスをお伝えするよう心がけています。次回ご来店時にお肌の変化を実感していただけると、とても嬉しいですね。

お肌は年齢に関係なく、しっかりケアをすれば必ず応えてくれると信じています。だからこそ、お客様と二人三脚で、個人サロンならではの距離感を大切にしながら、一緒にその変化を楽しんでいただければと思っています。

バーバーなび：変化が実感できると、気持ち的にも嬉しくなりますね。オールハンドでの施術にも、特別なこだわりがあるのでしょうか？

石井氏：さまざまなサロンで施術を受けてきた中で感じたのは、フェイシャルサロンに通う理由の一つは、やはり「人の手で丁寧に施術を受ける心地よさ」にあるということです。近年は、新しい美容機器が次々と登場し、それを導入するサロンも増えています。しかし、実際に自分のサロンを開いてみて感じたのは、機械を使うのも確かに便利ですが、お客様の顔のバランスを見ながら、手の感覚を頼りに整えていくことこそが、自分の技術の積み重ねになるということでした。また、手のひらから伝わる情報がとても興味深く、その感覚を活かして、お客様一人ひとりに最適な施術を提供できるのも、人の手ならではの価値だと思っています。

さらに、業界内でもあまり知られていない、医療現場で使用される高品質な商材を取り入れたケアにもこだわっています。一度の施術で肌の変化を感じていただくことが、技術の説得力にもつながります。そのため、使用する商材の質にもこだわり、施術の品質を損なうことなく、より良い肌状態を目指せるよう努めています。

バーバーなび：まさに職人技ですね。素晴らしいこだわりです。

バーバーなび：どのようなお客様にお店に来て欲しいですか？

石井氏：世代を問わず、どなたでも大歓迎です。ただ、特に「お肌を自然な状態で美しく保ちながら、年を重ねていきたい」と考えている方にぜひお越しいただきたいと思っています。シェービングを通じて、お肌の変化を実感していただけるよう、全力でお手伝いさせていただきます。ご自宅でのケアも大切にしながら、分からないことがあればいつでもご相談ください。一緒に二人三脚で、美しく年齢を重ねていけるようサポートしていきたいと思っています。信頼してお越しいただければ嬉しいです。

バーバーなび：素敵なお話を聞かせていただき、ありがとうございます。

バーバーなび：理容師を目指す若者に向けたメッセージをお願いします。

石井氏：シェービングを生業にしたいと考えて理容師を目指す方や、フェードスタイルに魅力を感じてその技術を習得したいと思う方もいるでしょう。それぞれのスタイルの魅力を活かしながら、お客様に自分の強みをアピールしていってほしいですね。理容も美容も基本的な技術は共通していますが、理容師にしかできない技術があるのも事実です。例えば、ハサミで作る刈り上げの美しい仕上がりや、アイロンパーマの高度な技術などは、理容ならではの誇れる技術です。そうした技術には誇りを持ち、自分らしい表現で磨きをかけてほしいですね。私の中では、美容師は「芸術家」、理容師は「職人」というイメージがあります。職人としての魅力を、自分なりのスタイルで表現しながら、かっこよく進んでいってほしいと思います。

バーバーなび：今後、シェービングに特化したサロンを目指す方へのアドバイスはありますか？

石井氏：シェービングは、スキンケアの一環だと考えています。ただ、シェービング技術だけを磨けばいいわけではありません。栄養学、解剖学、皮膚科学など、幅広い知識をしっかり学ぶことが大切です。お肌の状態は、外側のケアだけでなく、内側からの影響も大きいからです。こうした知識を身につけることで、より深みのある技術を提供でき、お客様の満足度も高まります。技術だけでなく、理論も学びながら、お客様に喜ばれるシェービングを追求してほしいですね。

バーバーなび：素敵なメッセージをありがとうございました。