THE BARBER STYLE MAGAZINE
2025.10.20

「床屋」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか? 昔ながらの雰囲気、赤・青・白のサインポール、そして親しみのある会話。 しかし実は、理容という職業は日本の文化とともに歩み、千年以上の歴史を持つ伝統職なのです。 この記事では、日本の理容の原点から現代のバーバー文化までを紐解きながら、進化の背景と今に受け継がれる魅力を探っていきます。
理容の歴史は千年以上前、平安時代にさかのぼります。 当時は長髪を結い上げる「髪結い」が身分の象徴であり、貴族の髪を整える専門職が生まれました。 この「髪結い」が、のちの「床屋」の原型とされています。
江戸時代に入ると、庶民の間にも髪結い文化が広がります。 特に男性の「丁髷(ちょんまげ)」スタイルが定着し、それを結い直す職人が路上や仮設の「床店(とこみせ)」で技を振るいました。 この「床店」こそが「床屋」の語源とされており、身だしなみを整えるだけでなく、世間話や情報交換の場としても賑わいを見せました。
明治維新とともに、日本の理容業界は大きな変革を迎えます。 1871年に発布された「散髪脱刀令」により、丁髷が廃止され、西洋風の短髪が主流に。 理髪椅子やハサミといった洋式の道具が導入され、理容は近代的なサービス業へと進化していきました。
戦後の高度経済成長期には「理容室黄金時代」が到来。 男性の身だしなみ意識が高まり、パーマやカラーが普及し、理容室は“社会人の身だしなみの拠点”として定着しました。 そして2000年代以降、伝統技術を現代的に昇華させた「バーバー文化」が再び脚光を浴びています。
現在のバーバーは、クラシックな技術にトレンドを掛け合わせた“新しい理容文化”として進化しています。 中でも象徴的なのが「フェード」スタイル。 サイドやバックを地肌近くまで刈り上げ、トップに向けてグラデーションを作る技術は、理容師の精密な手さばきの象徴ともいえます。
さらに、香り・照明・BGMなど“五感で楽しむ空間演出”も現代バーバーの特徴。 理容師による丁寧なカウンセリングと技術が融合し、男性が心からくつろげる特別な空間を作り出しています。
バーバースタイルは年齢や髪質を問わず、誰にでもフィットする柔軟さが魅力です。 以下は年代別・タイプ別のおすすめスタイル例です。
フェードをベースにしたクロップスタイルやツーブロック。 動きを出したショートマッシュも人気。直毛なら軽いパーマで柔らかさを、くせ毛なら流れを活かしてナチュラルに仕上げるのがコツです。
サイドパートやクラシックショートで落ち着いた印象に。 低めフェードとジェルスタイリングで、スーツにも映える大人の色気を演出します。
グレイヘアを活かしたショートや七三分けが定番。 ナチュラルなボリュームを保ちつつ、フェードを控えめに入れると上品な仕上がりに。
日本の理容文化は「髪結い」から始まり、江戸の床屋文化を経て、明治以降に近代化を遂げました。 そして今、伝統技術に革新が融合した“バーバー”として、再び多くの人々を魅了しています。 理容師は単なる技術者ではなく、「人の印象を変える職人」であり、「心を整える時間の演出家」。 そのDNAは、これからも未来へと受け継がれていくことでしょう。
✏️ バーバーなび編集部より
理容の歴史は、日本人の暮らしとともに進化してきました。
現代のバーバーは、その伝統を継承しつつ、時代の空気をデザインする存在です。
髪を整えることは、心を整えること。あなたもぜひ、次の休日に“文化を感じる一席”を体験してみてください。
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