一髪野郎YUMITA 弓田 大

今回は、新座エリアで昔ながらの趣を大切にしながら理容室を営む、一髪野郎YUMITAの弓田 大氏に取材を行った。弓田氏は、理容師歴40年。遊びを排した硬派なメンズスタイルを得意とし、道具の手入れを欠かさず、基本を正しく学ぶことの重要性を体現してきた。妥協を許さぬ信念を胸に、理容師としての宿命を背負い、本物の技術を40年にわたり追求し続ける髪技理容師だ。

CREDIT : Photo/Yuki 文/Yuki 編集/Manami(バーバーなび)

一髪野郎YUMITA

弓田 大

理容師歴:40年
出身校:中央理容専門学校
出身地:静岡県
得意技術:刈り上げ
得意スタイル:アイロンパーマスタイル・短髪
こだわり:技術への妥協しない姿勢
趣味: 技術習得・ライブ鑑賞・BOØWY/氷室ファン

競技歴:埼玉県理容競技大会優勝、全国理容競技大会出場
資格:職業訓練指導員
日本理容技学建設会(日技会) 副会長、教育指導部長

サロン紹介

まずはサロンへの道順を案内しよう。当サロンはJR武蔵野線・新座駅から徒歩でアクセス可能だ。改札を出て北口方面へ進み、ロータリーを抜けて新座北口通りを直進する。通りを左に曲がり県道109号に出たら左折。そのまま道なりに進み、大和田中町交差点を右折して直進すると、バーバーポールと水色の看板が目印の当サロンが左側に見えてくるだろう。駅から徒歩15分ほどと距離があるため、バスの利用も検討したい。新座駅北入口から大和田停留所で下車後、徒歩4分だ。時間に余裕を持って訪れるのが望ましい。また、駐車場もあるため、車で訪れる場合、サロンに問い合わせをするといいだろう。

使い込まれた理容椅子と、壁に並ぶ道具が静かに“職人の現場”を語る店内は、装飾を削ぎ落とした清潔感あるクールな空間だ。昔ながらの空気と確かな技術が息づき、フェードや濡れパン、パンチパーマなど、硬派なメンズスタイルを本気で求める男たちのためのバーバーである。髪質や骨格を見極めたカット、理容師の手による本格シェービング、頭皮から整えるケアメニューまで備えており、自分のスタイルに妥協したくない方には、ぜひ一度訪れてほしいサロンだ。

理容師を目指したきっかけ

バーバーなび:こんにちは。本日はよろしくお願いいたします。まずは、弓田さんが理容師を目指すようになったきっかけを教えていただけますか。

弓田氏: 私が理容師を目指したきっかけは、単純な理由というよりも「宿命」でした。生まれた瞬間にこの職業になることが決められたルートを歩んできたという感覚です。親に将来について語ったことは一度もなく、高校を卒業したら中央理容専門学校に行くようにと決められていました。当時は徒弟制度が当たり前で、中央理容専門学校は組合員しか入れなかったため、組合員の店に入って修行しながら学校に通いました。昼間は学校へ行き、夜は店で営業を手伝うという生活が当たり前でしたね。

バーバーなび:修行先に勤めながら日々経験を積まれたのですね。

理容業界への思い

バーバーなび:理容業界全体に対して、どのようなお考えをお持ちですか。

弓田氏: 昔の理容業界は美容業界と比較されて、成り立ちや憧れの職業という面で、美容に比べて劣っているというイメージがありました。美容がトレンドの発信地であるのに対し、理容は「ドリフのコント」と例えられるような社会環境でしたね。 しかし、フェードカットがブームになってからは、理容と美容の境界線はほとんどなくなり、同じ髪の毛を扱う仕事という点では差がないと感じています。理容師は生涯続けていくことのできる仕事であり、AIやロボットにもできない技術であるため、絶対今後も生き残っていける職業だと確信しています。もちろん、技術をしっかりと身につける努力は必要ですが、そうすれば食いっぱぐれない仕事であると思いますね。

バーバーなび:業界全体のイメージが時代と共に変化してきているのですね。

弓田氏:はい。実際、以前は理容師だけの仲間としか付き合いがありませんでしたが、今はフェードカットの講習に行くと美容師の方も多く、濡れパンのようなスタイルも普通に美容師さんが学んでいます。短い髪は理容師、長い髪は美容師という区別も今はなく、美容師さんでも刈り上げが非常に上手な方がたくさんいます。理容と美容が互いに技術を共有し、高め合う関係に変化していると感じています。

髪技理容師としてのこだわり

バーバーなび:それでは、こだわりについて教えていただけますか。

弓田氏: 私のサロンは、99%が男性客です。男性の硬派なスタイル、特にビシッと決まる遊びのないスタイルで勝負したいという思いが強いです。濡れパンが流行してからはさらに強くなりましたし、 日々新しいスタイルが生まれているので、他の方の仕事を見て、自分もよりすごい人達から学び、真似したり、直接指導を受けたりして、常に技術を取り入れていくように意識しています。特に濡れパンに関しては、発祥元の基本のやり方を決して崩さないことを徹底することにこだわっています。様々なところで濡れパンという言葉を聞きますが、「なんちゃって濡れパン」は許せません。

バーバーなび:基本の技術を大事にされながらスタイルを作ることにこだわられているのですね。

弓田氏:そうですね。お客様には「ちゃんとした本物の濡れパン」を理解していただきたいので、当店では自信を持って、そのスタイルに関する全ての説明ができ、本当のやり方をお伝えすることができます。スタイルに合う商材まで含めて、必要なものを提案しています。

お客様へのメッセージ

バーバーなび:どのようなお客様にご来店いただけると嬉しいですか。

弓田氏:当店には、昭和のスタイルが好きな方、特にパンチパーマのような硬派なスタイルを求める方、そして「その道」を追求したい方に是非来ていただきたいです。私自身、そういった方々のスタイルを作るのが大好きですから、できることとできないことがありますが、お客様が求める期待には応えるべく、日々精進しています。

バーバーなび:お客様の期待に応えるべく、日々お店に立たれているのですね。

弓田氏:理容室にはそれぞれのスタイルやこだわりがあります。当店では、いわば“女性ご法度”という形を取っており、基本的には男性専用の空間として営業しています。もちろん、それぞれの店にはそれぞれの考え方があり、どちらが正しいというものではありません。私は、自分が理想とするスタイルをしっかりと打ち出していきたいと考えており、そうした価値観に共感してくださる方にご来店いただけたら嬉しく思います。

未来の理容師に向けたメッセージ

バーバーなび:理容師を目指す若い方々に、メッセージをお願いできますか。

弓田氏:これから理容師を目指す方々には、いつの時代もそうですが、流行りばかりを追いかけていると、流行はいつか必ず廃れるということを心に留めておいてほしいです。新しいスタイルは次々と出てきますが、結局のところ、私たちの仕事はハサミ、カミソリが一言で言えば基本です。なので 例えば、今はフェードカットが流行っているのでバリカン一本でできるかもしれませんが、フェードカットが廃れた時に、普通のハサミと櫛でカットができるのかどうか。そういうところを見失わないようにしてほしいです。基本は常に原点でありながら、それは古いのではなく、新しいものなんです。 また、ハサミやアイロンといった道具の扱い方にもこだわりを持ってほしいです。カットをしている方の中には、アイロンの持ち方やハサミの持ち方が間違っている方も見受けられます。道具は手入れから始まって、それを正しく操作できるようにすることが何よりも大切です。ハサミの握り方一つにも、知識や理論がしっかりとあるんです。 学校でまずは基本をきちんと覚えてもらい、最終的には自分で練習を積んでやらなければならない職業です。競技会やバトルといった場で、人と技術を競い合い高めていってほしいですね。基本の技術をしっかり身につけることが、何よりも重要です。

バーバーなび:素敵なメッセージをありがとうございました。

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