Barber カクタニ 角谷 英夫

今回は東京ドームの近く、飯田橋駅周辺の髪技理容師を見つけるべく調査していたところ、歴史を感じるサインポールが目印の理容室、Barber カクタニさんを見つけた。取材を申し込んだところ角谷さんが快くインタビューに応じて下さった。角谷氏は理容師歴35年を誇るBarber カクタニの三代目、MD式アイロンパーマ研究会の副会長もやられているアイロンパーマのことならなんでもお任せのベテラン理容師だ。

Barber カクタニ

角谷 英夫

出身地:東京
出身校:中央理美容専門学校
得意技術:アイロンパーマ
得意スタイル:全てのパーマスタイル
趣味:仕事、仲間との勉強会、お酒、昔はスノーボードやダーツも

サロン紹介

簡単な道案内をすると、飯田橋駅前の橋を渡り、高速道路沿いの下道をまっすぐ600メートルほど歩くと到着する。サロン前のサインポールが目印で、外観はおしゃれな喫茶店のよう。

サロンの内装はレンガ調の壁やレトロでおしゃれな装飾品などが飾ってあり、喫茶店やカフェのような心落ち着く空間になっている。また、壁には何種類ものパーマ用のアイロンが用意してあり、角谷氏のこだわりが目で見て感じられる。MD式アイロンパーマとは、昭和から続く理容の伝統技術のアイロンパーマ。ダメージも気にせず助剤も使わずハードなカールから緩め、ツイスパや波々などのバリエーションも豊富。他の理容室でかけるアイロンパーマとは全く別物の、助剤に頼らず傷ませず、チリつかせずに繰り返し長く楽しめるパーマだそうだ。 2014年に角谷氏と仲間の皆さんで立ち上げた「MD式アイロンパーマ研究会」では薬剤の考え方、アイロンの施術なども1から見直して常日頃から学べる場になっているそう。 お店とMD式アイロンパーマの簡単な紹介が済んだところで早速角谷氏のインタビューを進めていこう。

理容師を目指したきっかけ

バーバーなび:こんにちは、本日はよろしくお願いします。まず角谷さんが理容師を目指すことになったきっかけを教えてください。

角谷氏:やはり父と母と祖母がこの仕事をしていたことが大きかったです。あとはやっぱり長男としてこの仕事を継ぐべきだなと感じたのが最初のきっかけですね。ただ、始めた頃はそこまで熱意がなく、なんとなく漠然とやってたんです。このままでいいのかななんて思いながら普通に仕事をして、若い時は趣味ばかりで結構遊んでしまいましたね。

バーバーなび:MD式アイロンパーマ研究会はターニングポイントとしての何かのきっかけになっていたのでしょうか?

角谷氏:そうですね。研究会をきっかけに10年前からより本格的に意識して仕事が出来ていると思います。もう少し若い時からこの仕事をまじめにやってればよかったなとは思ってます(笑)

理容業界への思い

バーバーなび:理容業界全体に対してはどのような思いや考えをお持ちですか?

角谷氏:やはり床屋さんはどんどん減っていっているので、その衰退の原因は何なのかって考えたんです。 熱意がありやる気に満ち溢れている方がもちろん多いのですが、美容師さんと比べると、少しゆるく仕事をしている方が多いんですね。持ち店舗や持ち家で家賃もなくて、ご来店したお客さんの対応をすれば生活くらいならできてしまうんです。それで現状いいかなと思ってやってる方が多くて。そうではなくて、お客様に喜んでいただけるようなことだと思って僕たちはやってるんです。その中で自分も勉強していくしかないのかなっていう風に気づいたのが10年くらい前だったんです。なので、もっと床屋さんはいいものだよっていう発信をしていかないと、それこそ床屋のなり手がいなくなってしまうのではと思っています。なり手がいなくなったら、この先従業員を雇いたいと言っても雇えないですしね。

バーバーなび:理容業界として情報発信は必須ですよね。また、直近でフェードカットが流行っていたりしますが、そういった部分の影響はなにか感じますか?

角谷氏:偉そうに言っちゃうとあれなんですけど、フェードカットは当たり前にできないと僕はダメだと思っているんです。仲間ももちろんそうなんですけど、フェードカットはどこでもできるので、他ではなかなかできないことで差別化を図っていこうよということで、アイロンパーマに特化して差別化を図っているんです。流行り廃りってやっぱりあるじゃないですか。だから、どんな流行りが来ても対応できるような技術に特化しようよっていう話ですね。僕はInstagramでも、フェードカットは投稿しないようにしていて、その他の色々な髪型を載せるようにしています。

バーバーなび:常にトレンドですとか最先端のことを突き詰めてやられてるってことですね。

角谷氏:そうですね。研究会でも今日はどういうことをやった、新しいものを仲間同士で試したなど、情報の共有を行って皆で進もうとしています。

髪技理容師としてのこだわり

バーバーなび:ありがとうございます。それではこだわりを教えてください。

角谷氏:うちは「毎日のセットを楽にかっこよく」というコンセプトがあるんです。やはり男性は仕事も忙しい方も多いし、いかに楽したいかっていうのは考えてると思うので、その中でも、かっこよくしたいという思いを叶えるために、とにかくセットを楽にかっこよくできるスタイルを作りたいなとは思ってずっとやってきました。

バーバーなび:確かに朝のセットは大変なので楽にっていうところは重要ですよね。

角谷氏:そうですね。だからなるべく、どこの毛がどう落ちていくかここは動きを出したいから短くしなきゃいけない、じゃあ量が多いからここを取ろうとかなどということを常に考えながら切ったり施術をするようにしています。

お客様へのメッセージ

バーバーなび:どのようなお客様にお店に来て欲しいですか?

角谷氏:14年くらい前に、男性って30歳ぐらいを過ぎると美容室に行きづらくなったり女性に囲まれて居心地が悪くなってくるんだよねというお話を聞いたんです。その後、どのようなお店を作ろうかなと考えた時に普通の床屋さんには行きたくないんだけど、美容室にも行きたくないという人を迎えられればなと思ったんですよ。だからゴリゴリのバーバーショップっていうフェードしか来ないようなお店にはしたくなくて、カフェっぽくしたかったんですよね。そこをまずベースとして、やっぱり髪型にはこだわりを持っている人が来てほしいかなと思ってますよね。

バーバーなび:確かにお店のイメージもカフェのような柔らかい、落ち着く雰囲気でリラックスできるようになっていますね。

角谷氏:結構今バーバーショップって男性受けするようなカッコいいサロンが多いですけど、そこまでだとお客様を選んじゃうのかなっていうのはあったんです。もちろん、フェードのお客様を取りたくないのではなく大歓迎ですが、特化サロンにはしたくないので、幅広くうちのお店をいいなと思ったお客様に来てほしいですね。

未来の理容師に向けたメッセージ

バーバーなび:理容師を目指す若者に向けたメッセージもお願いできますか?

角谷氏:理容師も美容師もそうなんですけど、やっぱり入ってからある程度技術を磨かないとダメで、仕事が終わってから練習してとか大変な仕事だと思います。でも、その先でお客様に「めっちゃいいですね」とか「かっこいい」などと仰ってもらえた時って本当に嬉しいんですよ。だから、大変だけどもカッコいい、やりがいを持ってやりたいって思えるような仕事なんだよっていうのは言いたいかなと思いますよね。

バーバーなび:大変なところもあるけど、それ以上にやりがいを感じられる素敵な仕事っていうことですよね。

角谷氏:そうです。立ち仕事ですし営業も長いし本当に大変です。でも、その先には結構やりがいはあるかなとは思ってます。

バーバーなび:今までの理容師歴の中で、この時期、このタイミング結構大変だったなっていうことはありますか?

角谷氏:1番最初、漠然とやってきたものをなんとかしなきゃって思ってて、お店を改装したんですけれども、お店改装した年ってやっぱり綺麗になるので普通に売り上げって伸びるんですよ。でも、翌年売り上げなどの数字を出していくと、その上がった分はもう平行なんですよ。その時に、綺麗になったそのまま何もしなかったら絶対下がっていくなと思って。それから色々な勉強をするようになりましたし、それを通して、うちの店を知ってもらうためにインスタの投稿をしたり、ブログを書いたりとかをするようになったんです。とにかく自分でできるものはやり続けて、ブログは4、5年ぐらい毎日書いてます。インスタはちょっと途中抜けしたりしましたけど、最近はなるべく毎日あげるようにしてますね。

バーバーなび:色々試して、勉強会もして、常に技術磨いて知識をつけてきたんですね。

角谷氏:はい。結局知ってもらわないと来てもらえないので、僕はとりあえず自分でやれることはやっています。多分何もしていかないと、僕たちも生活があって結局は売り上げを上げていかないといけないので、何かしらはとにかくやり続けてはいこうかなと思っています。

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