THE STYLIST INTERVIEW
理容師特集
Cure Hair 織田 裕英
今回は国分寺エリアで床屋をリサーチしていたところ、Cure Hair さんを見つけ、取材を申し込むと織田裕英氏が応じてくださった。織田氏は2代目としてサロンを牽引する一方、講師としても活動している。お客様には「良き近所のおじさん」のように、近すぎず遠すぎない距離感で接し、前向きな気持ちで帰っていただけるよう心がけている髪技理容師だ。
CREDIT : Photo/Yuki 文/Yuki 編集/Manami(バーバーなび)
Cure Hair
織田 裕英(オダ ヒロヒデ)
理容師歴:30年以上
出身校:中央理容美容専門学校
出身地:東京都
得意技術:コテパーマ(アイロンパーマ)、カラーリング、質感カット
得意スタイル:マッシュ系、ベリーショート、女性のショートカット
こだわり:お客様の髪質や骨格に合わせた道具の使い分け。ポジティブな気持ちで帰ってもらうこと。
趣味:音楽ライブ、スポーツ観戦、千べろ
サロン紹介
まずはサロンへの道順をご案内しよう。国立駅北口を右方向に進み、三菱UFJ銀行を過ぎ信号を左折、直進する。ファミリーマートの信号を右に進み、坂を上ってそのまま直進すると、左側に赤と白のサインポールが回っている場所が当サロンだ。
女性客も多く訪れる店内は、家族で営むアットホームな空間だ。誰もが安心して通える雰囲気を大切にしており、親子での来店も歓迎している。お子様用セット面を備えているため、親子や家族で一緒に施術を受けられ、家事や育児で忙しい方にも通いやすい。毎朝のスタイリングが簡単に決まる扱いやすいスタイルを、お洒落に実現することができるだろう。
理容師を目指したきっかけ
バーバーなび:こんにちは。本日はよろしくお願いします。まずは織田さんが理容師を目指すことになったきっかけを教えてください。
織田氏:よろしくお願いします。私は創業53年目になるサロンの2代目で、幼い頃から両親の背中を見て育ちました。最初は自分の強い意思というより、自然とこの道に進んだという感覚でした。ただ、まっすぐ理容の道に進んだわけではなく、海外留学やさまざまな仕事を経験したうえで、最終的にこの道を選びました。
バーバーなび:さまざまな経験を経て理容業界に進まれたのですね。
織田氏:はい。一度理容の世界を離れ、収入の良い仕事に携わったこともありました。しかし、世の中には適正価格で売られていないものが多く、「やった分の対価ではない」と感じることもありました。その点、理容はお客様に喜んでいただき、その対価としてお金をいただける。自分にはこの在り方が一番合っていると感じました。そうした経験を経て、この仕事の素晴らしさを再認識し、再び戻ってきた形です。
バーバーなび:そのような経緯を経て、現在は理容にやりがいを見出しご活躍されているのですね。
理容業界への思い
バーバーなび:理容業界全体に対してどのような思いや考えをお持ちですか。
織田氏:今の理容業界は、良い時代に入っていると感じていますし、しっかり取り組んでいれば繁盛できる環境が整っていると思います。ただ、その流れに乗り切れていない人たちも少なくありません。SNSなどを活用し、時流を捉えている人は残っていきますが、それができていない人にとっては厳しい状況になってきているのも事実です。今はまさに「バーバーブーム」の時代だと考えています。
バーバーなび:なるほど。現在のブームを肌で感じていらっしゃるのですね。
織田氏:私の周りでも、サロンが繁盛しているところと、そうでないところの差は非常に大きいです。中間層のサロンは今後淘汰されていく可能性が高いと思います。その一方で、今努力を重ねている人たちには、これからさらに良い時代が訪れると感じています。私は「みんなを救う」というよりも、まずは自分自身の力を磨き、個々の力が業界全体を押し上げていくことが大切だと考えています。理容業界全体を語る前に、一人ひとりの技術や姿勢がしっかりしていれば、結果的に業界全体が強くなる。なんとなくやっていても成功できた時代はもう終わり、いまは「本気で取り組む人」が繁盛する時代になったと実感しています。
髪技理容師としてのこだわり
バーバーなび:それではこだわりを教えてください。
織田氏:お客様にとって「良き近所のおじさん」のような存在でありたいと考えています。近すぎず遠すぎない距離感を大切にし、ときには相談相手にもなれるような関係が理想です。私自身ポジティブな性格なので、お客様の考えを否定することはせず、常に肯定的に受け止め、背中を押して差し上げるようにしています。髪を整えるだけでなく、気持ちが明るくなり、前向きな気持ちで帰っていただけることを何より大切にしています。楽しい気持ちで「また来たい」と思っていただけることが理容師としての喜びです。
バーバーなび:素晴らしいですね。とても素敵です。
織田氏:ありがとうございます。本当に「良きおじさん」でありたいと思っています。小学生が外から帰り際に手を振ってくれると嬉しいですし、地域の商店街活動や国分寺市の商工会などにも積極的に関わることで、地域に根差した存在でありたいと考えています。これが私のこだわりであり、サロンの強みにもなっていると思います。技術面では、お客様の骨格を必ず確認し、髪質に合った道具を使い分けることにこだわっています。また、コテパーマのような特殊な技術を取り入れ、スタイルに独自のニュアンスを加えることも大切にしています。
お客様へのメッセージ
バーバーなび:どのようなお客様にお店に来てほしいですか。
織田氏:どなたでも大歓迎です。当店はファミリーサロンとしてアットホームな雰囲気を大切にしており、お母さまや奥さま、娘さんまで、ご家族皆さまでお越しいただきたいと思っています。お店の前のバス停で待っている方が、夏場に涼みに立ち寄ってくださることもあるほど気軽なサロンですので、ぜひ安心してご来店いただきたいです。
バーバーなび:幅広いお客様を歓迎されているのですね。
織田氏:はい。私はショートカットが得意で、高齢の女性や介護が必要なお客様のカットにも対応しています。そのため、高齢者の方々への対応は当店の強みの一つです。国分寺市内であれば出張理容も行い、ご来店が難しくなったお客様にも寄り添えるよう心がけています。また、お客様に飽きられないよう常にトレンドを取り入れることも大切にしています。夏にはクールシャンプー、冬には保湿パックなど、季節やお客様の状態に合わせた「ワンセルフメニュー」を提供しています。世代を問わず、どなたでも安心して通っていただけるサロンを目指しています。
未来の理容師に向けたメッセージ
バーバーなび:理容師を目指す若者に向けたメッセージをお願いできますか。
織田氏:これからこの業界は大きなチャンスがあると伝えたいです。現在は成り手が少なくなっている状況だからこそ、可能性が広がっていると思います。かつてのカリスマ美容師ブームを経て、今は新たな「バーバーブーム」が到来しています。ジェンダーレスの時代になりつつありますが、その一方で「男性らしさ」を求める若い世代が理容室を選ぶケースも増えていると感じています。
バーバーなび:非常に前向きで力強いメッセージですね。
織田氏:少し率直すぎるかもしれませんが、この仕事はやれば必ず結果が出ると実感しています。一人サロンでも月に100万円以上を目指すことは十分に可能ですし、年収800万円から900万円を得ることも夢ではありません。だからこそ、これから理容師を目指す若者には「未来のある仕事」であることを伝えたいです。ここまで赤裸々に語る理容師は少ないかもしれませんが、私はあえてリアルな部分も含めて、業界の明るい未来を示したいです。
バーバーなび:素敵なメッセージをありがとうございました。