THE STYLIST INTERVIEW
理容師特集
TRUNK BARBER 但野 幹太
今回は文京区内で理容室を探している中で、TRUNK BARBERさんを見つけ、取材をお願いしたところ但野幹太さんが快く応じてくださった。但野氏は理容師歴14年。お客様との関係性において、人生の節目を共に喜び合える「友達」や「仲間」のようなつながりを大切にしている。トレンドのパーマスタイルを得意とし、技術面や空間づくりでは、美容室のような要素も取り入れながら追求する理容師だ。
CREDIT : Photo/Yuki 文/Yuki 編集/Manami(バーバーなび)
TRUNK BARBER
但野 幹太
理容師歴:14年
出身校:窪田理容美容専門学校
出身地:東京都
得意技術:パーマ
得意スタイル:最近流行りのパーマスタイル
こだわり:美容室のような雰囲気の中で、お客様と仲間のような関係性を築くこと
趣味:お酒、ランニング、観葉植物・多肉植物のアート部
サロン紹介
まずはサロンへの道をご案内しよう。千駄木駅1番出口を出て右に曲がると、サンマルクカフェの隣にリラクがある。その2階が当サロンだ。入り口は正面の不忍通りにはなく、建物の左脇にある。小さめのロゴ看板が右手に見えるので、その階段を上がれば当サロンに着く。入り口の白い柵が閉まっている場合は、開けて入ってきて問題ない。
当サロンは少人数で落ち着いた時間を過ごせるプライベートサロン。千駄木駅から徒歩すぐの駅近で、雨の日でも通いやすい立地にある。大型店のような喧騒はなく、ビルの2階という隠れ家的な空間で、周りを気にせずリラックスして施術を受けられるだろう。
理容師を目指したきっかけ
バーバーなび: こんにちは。本日はよろしくお願いします。まずは但野さんが理容師を目指すことになったきっかけを教えてください。
但野氏: よろしくお願いします。きっかけは手に職をつけたいという思いがあったことです。学生の頃、父が毎日スーツを着て会社に通う姿を見て、自分は少し違う形で働きたいと感じました。最初は美容師志望で専門学校のオープンキャンパスに行ったのですが、その際に床屋が減少している状況を知り、むしろ年齢を重ねてからの方が理容師には魅力があるのではないかと思いました。そのとき先生からも同じような言葉をいただき、納得して理容師の道に進むことを決めました。
バーバーなび: ありがとうございます。最初は美容師に興味を持たれたのですね。
但野氏: はい。実際に学校を見学して色々と話を聞く中で、将来的なことも考えた上で理容師を選びました。その選択が、現在の「ザ・バーバー」という伝統的な形だけでなく、美容室的な要素を取り入れた空間づくりやこだわりにつながっていると思います。
理容業界への思い
バーバーなび: 理容業界全体に対してどのような思いや考えをお持ちですか?
但野氏: やはり理容師の人数が減っているという現状は、多くの方が口を揃えて指摘するところです。だからこそ、業界全体で持ちこたえてほしいという思いがあります。私が独立開業した最大のきっかけも、師匠や兄弟から学んだ技術を後世に残し、承継していきたいという気持ちでした。
バーバーなび: 技術の継承を重視されているのですね。具体的に、今後業界内で取り組みたいことはありますか?
但野氏: 少しでも間口を広げていきたいと考えています。例えば、自分が理容師を雇ったときに、そのスタッフがいずれ独立できるような環境をつくることは、業界全体の力になるのではないかと思います。また、あまり専門性を狭めすぎず、美容室の要素を取り入れた床屋がもっと増えてもいいと考えています。下は0歳から上は80歳以上まで幅広く対応できる店づくりを目指し、メニュー面でもカットだけでなくヘッドスパなどを充実させることで、理容に足を運んでもらいやすい環境を整えていきたいです。
髪技理容師としてのこだわり
バーバーなび: それでは、こだわりを教えてください。
但野氏: 理容室は男性をターゲットにしていることが多いですが、男性にはあまりお店を頻繁に変えず、信頼できる同じ人に任せたいという方が多いと思います。だからこそ、私は技術はもちろんですが、お客様との関係性を大切にしたいと思っています。
バーバーなび: お客様との関係性を大事にされているのですね。
但野氏: はい。お客様とは、ある意味で一歩踏み込んだ、良い意味で「友達」のような関係を築きたいと考えています。1ヶ月に1回という頻度で髪を任せていただくのは、場合によっては親しい友人よりも多く会うことになります。結婚や就職、出産といった人生の節目を共に喜び合える「仲間」のような存在でいられることが、私にとって大きな喜びです。
バーバーなび: 素敵ですね。その関係づくりこそが、但野さんの強みなのですね。
お客様へのメッセージ
バーバーなび: どのようなお客様にお店に来てほしいですか?
但野氏: もちろん近隣や地元の方々に来ていただきたいのですが、特に限定するわけではありません。ただ、地域のコミュニティに自然と溶け込んで、一緒に繋がりを広げていける方に来ていただけると嬉しいですね。実際に飲食店を経営されているお客様もいらっしゃいますし、「今度行くよ」と声をかけてくださる方が、飲み屋で知り合って来てくださることもあります。
バーバーなび: 地域のコミュニティ含めた繋がりを大切にされているのですね。
但野氏: そうですね。お客様がお店をやられていたら私が伺うことがありますし、そうしてお互いに近況を報告し合ったり、共通の仲間へと繋がったりできる関係はとてもありがたいです。長く深い繋がりを築けるお客様に来ていただけると嬉しいですし、そのような関係性が地域で広がれば、お互いに良い影響を与え合えると感じています。
未来の理容師に向けたメッセージ
バーバーなび: 理容師を目指す若者に向けたメッセージをお願いできますか。
但野氏: 私自身の経験から思うのは、あまり一生懸命になりすぎなくても良いということです。強い熱意を持って始めても、その熱量が続かずに辞めてしまうケースもあります。修行は厳しい部分もありますが、力を抜くところは抜きながら、うまく続けていってほしいです。
バーバーなび: これから理容師を目指す方に意識しておいてほしいことがあれば教えてください。
但野氏: とにかく続けることが大事です。技術は不器用でも、続けていれば自然と身についていくものだと思います。それよりも、人間性や人との関わりを大切にすることが後々大きな力になると思います。私自身、この店を立ち上げた時には本当に多くの人に助けてもらいました。神経質に技術だけにこだわるのではなく、適度に遊び、友達と会い、ゆっくりとやっていくことも大切だと思います。
バーバーなび: 暖かなメッセージをありがとうございました。