OTTO　釣澤 勝

バーバーなび：こんにちは。本日はよろしくお願いします。まずは、釣澤さんが理容師を目指すことになったきっかけを教えてください。

釣澤氏：よろしくお願いします。両親をはじめ親族に理美容師が多く、自然と理美容が身近な環境で育ちました。私は工業高校出身で、本当は大学進学を希望していましたし、建設関係の仕事にも興味がありました。ただその時、父から「理容師の専門学校なら学費を出す」と言われたことが大きな転機となりました。奨学金を借りて大学へ進学する選択肢もありましたが、当時の自分にはその重みを背負う決断ができず、現実的に考えて専門学校を選ぶ道を取りました。通信制は就職が条件だったため、結果的に理容室に勤めることになり、それがこの世界に進むきっかけとなりました。

バーバーなび：理容業界全体に対して、どのような思いや考えをお持ちですか。

釣澤氏：業界全体に対して「これが問題だ」「変えたい」といった思いはありません。私が18歳でこの世界に入った頃と比べると、現在は若い人も含めてずいぶん働きやすい環境になっていると感じています。

バーバーなび：昔に比べて環境は良くなっていると感じていらっしゃるのですね。

釣澤氏：そうですね。もちろん、お店によって良い部分もあれば課題もあります。ただ、全体としては若い人たちも働きやすさを意識して取り組んでいると感じますので、大きく改善したいと思う点はありません。それよりも私が大切にしているのは、前のお店で施術を受けていたお客様が来られた際に、以前の理容師の仕事を否定しないことです。

バーバーなび：それでは、施術やサロンワークの中でのこだわりを教えてください。

釣澤氏：こだわりは、お客様の要望に対して「期待以上の仕上がり」でお返しすることです。ただ、これは特別なこだわりというよりも、理容師として当たり前のことを当たり前に行っているに過ぎないと思っています。

バーバーなび：お客様の期待を超える仕上がりを提供することを大切にされているのですね。とても素敵です。

釣澤氏：ありがとうございます。お客様の「こうしたい」という要望をできる限り叶えることは、師匠からも教えられたことです。例えば「この髪型は似合わないですよ」と完全に否定してしまえば、お客様は一生そのスタイルを諦めてしまうかもしれません。必要に応じてアドバイスは行いますが、できる限り希望を尊重するようにしています。自分の考えを押し付けるのは双方にとって気持ちの良いことではありませんので、避けるようにしています。

バーバーなび：どのようなお客様にお店に来てほしいですか。

釣澤氏：当店には幅広い年齢層のお客様が来られるので、特に「こういう人」という限定はありません。マンツーマンの接客で、リラックスして過ごしていただける方であれば、どなたでも歓迎いたします。リラックスしていただきながら、ご自身のやりたいスタイルを考えていただければ嬉しく思います。

バーバーなび：理容師を目指す若者に向けたメッセージをお願いできますか。

釣澤氏：私は国家試験が終わったらすぐに辞めようと思っていましたが、続けてこられたのは、この仕事にやりがいがあり、人とのつながりがあったからです。特に専門学校時代の仲間には大きく支えられましたし、その出会いがあったからこそ免許取得後も歩みを止めずに続けられました。また、勤めていたお店でも人間関係に恵まれ、今でも連絡を取り合う仲間がいます。

バーバーなび：素敵な出会いが釣澤さんを支えてきたのですね。理容師を目指す人たちにとって、この仕事の魅力や大変さを乗り越えるヒントをお願いします。

釣澤氏：修行中は手取りも少なく、厳しい面も多くありました。しかし、それを乗り越えた先には楽しいことの方が多く待っています。お客様とのつながりや、人間同士の関わり合いから得られるものは大きい。ときには相談に乗ったり、逆に支えてもらったりすることもあります。壁にぶつかることはあると思いますが、その先には必ず喜びがあります。18年間、人生の半分をこの仕事に捧げてきて、ふとした瞬間に理容師という仕事の魅力を実感しますし、自分の子どもから「理容師になりたい」と言われた時には特別な思いが込み上げました。もちろん辛い時期もありましたが、それを越えてきたからこそ今があります。将来理容師を志す方にも、ぜひこの思いを味わってほしいと思います。

バーバーなび：素敵なメッセージをありがとうございました。