THE STYLIST INTERVIEW
理容師特集
BBつばめ 渡邊 和博
今回は、清瀬エリアのBBつばめさんを取材させていただいた。中に入ると一気に”鉄道”の世界に引き込まれる知る人ぞ知るサロンである。そのサロンのオーナー渡邊氏は理容師歴35年、”鉄道”を通して様々な地域に関しての知識も持ち合わせ、お客様とのコミュニケーションを大切にした上で、本物の技術を提供する髪技理容師だ。
CREDIT : Photo/Yuki 文/Yuki 編集/Manami(バーバーなび)
BBつばめ
渡邊 和博(Kazuhiro Watanabe)
理容師歴:35年
出身校:東京綜合理容美容専門学校
出身地:埼玉県
得意技術:アイロンパーマ
得意スタイル:濡れパンなど、ドライヤーで簡単にセットできるスタイル
こだわり:シャンプー後にセットしやすく、まとまりの良い機能性を重視の髪型を提案すること
趣味:鉄道旅(全国各地を訪れ、その土地のフードや情報を仕入れてお客様に共有する)
サロン紹介
まずはサロンへの道順を案内しよう。西武池袋線・清瀬駅南口を出て、正面のセブンイレブンとオーケーの間の道を直進する。突き当たりを右折し、「清瀬高校入口」の信号を左折して小金井街道を進む。新小金井街道との交差点手前にあるAOKIが見えてくるとその左側に当サロンが見えるだろう。
内装はまさに渡邊氏の鉄道へのこだわりが詰まっている。レトロな鉄道グッズなども置かれており、どこか懐かしい気持ちにもなるに違いない。その日訪れるお客様のご出身なども踏まえて、ご当地の駅名看板を設置するなど、訪れるお客様の心をくすぐるような細かなこだわりも特徴的である。理容×鉄道の思いも今回は渡邊氏に伺ってみよう。
理容師を目指したきっかけ
バーバーなび:こんにちは。本日はよろしくお願いいたします。まずは、渡邊さんが理容師を目指すようになったきっかけを教えていただけますか。
渡邊氏:よろしくお願いいたします。きっかけは、幼少期の頃に両親が理容室で楽しそうに仕事をしている姿を見たことですね。両親が二人で楽しそうに働いているのを見て、「こういうのもありなんだな」って思ったんです。本当にその楽しそうな姿を見たことが、一番のきっかけになっています。超単純な理由です。
バーバーなび:ご両親の理容師としての姿が一番最初のきっかけだったのですね!鉄道がコンセプトとなるサロンですが、そのルーツは何かあったのでしょうか?
渡邊氏:幼少期の頃、家の近くが電車を作る車両工場や大きい踏み切りがあり、私が泣くとよくそこに連れて行ってもらっていたので、それがきっかけになりますね。
バーバーなび:なるほど、幼少期の出来事が今の鉄道に対するこだわりに繋がっているわけですね。
理容業界への思い
バーバーなび:理容業界全体に対して、どのようなお考えをお持ちですか。
渡邊氏:理美容の線引きをなくして、もっと人を楽しませるような仕組みで業界を動かしていけたらいいなと思っています。見た目やセンスだけでなく、お客様を「楽しませて綺麗にしてあげる」ということは、理容も美容も共通していることだと思うんですよ。
バーバーなび:確かにその点は大きく共通していますね。
渡邊氏:ただ綺麗にするだけでなく、「この人とおしゃべりしているのが楽しい」と思ってもらえるような、総合的なエンターテイナーになれたらいいんじゃないかなと。やっつけ仕事ではなく、この人は何を求めているんだろうと考えて、技術的なことも含め、人としての会話も大事ですよね。
バーバーなび:エンターテイナー性、大事ですね。長野県で行われている「理髪車」のイベントにも関わっていらっしゃると思いますが、そのあたりの思いもお聞かせいただけますか?
渡邊氏:「理髪車」は年に3、4回ほど行っています。きっかけは、鉄道写真家の方に「長野の赤沢森林の車両で撮影会をやるから、実際に車庫から出して理容をやってみませんか?」と誘われたことです。
過去に赤沢森林で仕事をされていた方々に向けて車両で散髪を行なっていたという文化があったので、そういった文化の維持や継承することに意味があると思っているので、これからの世代の方々にも伝えていきたいですね。
バーバーなび:素晴らしいですね。そういったイベントを通して、理容の魅力がもっと広がることを願います。
髪技理容師としてのこだわり
バーバーなび:それでは、こだわりについて教えていただけますか。
渡邊氏:まず、衛生管理は最低レベルとして保健所の基準を満たしているので問題ないと思います。それ以外では、例えば、店内にあるグッズを定期的に入れ替えています。
例えば、北海道出身のお客様がいらっしゃった時に、北海道エリアの看板や標識を店内に置いたりするんです。そうすると、お客様の地元に関する話で盛り上がれるんですよ。初めてのお客様には特に、家の近くの話よりも出身地の話の方が入りやすいですし、お客様もテンションが上がりますからね。そういった繋がりを持つための工夫です。
バーバーなび:なるほど、会話のきっかけ作りとお客様へのパーソナルな配慮なのですね。技術を提供する職人との心構えや、使用する商材などへのこだわりはありますか?
渡邊氏:技術者として、「本物」を知り、「究極」を勉強するべきだと思います。最高のレベルを知ることで余裕が生まれて、お客様に提供できることの幅が広がります。表面的な技術だけでなく、それ以上のことを覚えた上で緩くしていく方が絶対にやりやすいです。これはもう経験でしかないですね。
シャンプーや顔に使用する商材は、肌に優しい無添加のものを使っています。他のお店ではあまり使っていないような、より良い薬剤も使っているので、お客様には安心してご来店いただきたいです。
お客様へのメッセージ
バーバーなび:どのようなお客様にご来店いただけると嬉しいですか。
渡邊氏:一般的には、「鉄道好きな人に来てほしいんでしょ?」と思われるかもしれないですが、そうではありません。私が理想とするのは、「ゆるく楽しめる人」、「面白いところだね」と感じてくれるような、ごく普通の人々です。純粋に髪を切りに来て、その空間や会話を楽しんでくれることを望んでいます。
バーバーなび:お客様にはこの空間を通してサービスや会話を楽しんでいただけることが一番ですね。小さなお子様や女性のお客様も対応されていますか?
渡邊氏:はい、小さなお子さんから女性のお客様も対応しています。先ほどお話ししたように、肌に優しい無添加のシャンプーや薬剤を使用しているので、安心してご来店いただけると思います。
未来の理容師に向けたメッセージ
バーバーなび:理容師を目指す若い方々に、メッセージをお願いできますか。
渡邊氏:そうですね、まず伝えたいのは、「型にはまることなく、もっと弾けろ」ということですね。理容師の修行はどうしても型にはまりやすいのですが、もっと自由に、自分の好きなことをやった方がいいと思います。基本的なことはもちろん大事ですが、自分が良いなと思ったことは臆せずやった方がいい。絶対に言った通りのことになりますから。
バーバーなび:好きなことを追求する大切さですね。
渡邊氏:あと、「周りを見すぎない」「人と比べない」ことですね。比べても良いことはないですから。好きなことを突き詰めることで、趣味が仕事に繋がったり、色々な可能性が生まれてくるんですよ。楽しいことをやっている人のところに、やっぱみんな集まってくるんです。だから、とりあえずもう没頭してほしいですね。
今はYouTubeなどがあるから恵まれていますよね。わからないことは調べて、技術を何度も見返して学べるんですから。昔は見て覚えて、手取り足取り教わっていたけれど、今は何度も見返せる。あれは便利ですよ。そういうものを活用した上でとにかく型にはまることなく、一度きりの人生だからこそ、夢に向かって弾けた方がいいと思います。散髪進行!
バーバーなび:力強く心強いメッセージありがとうございます!