THE STYLIST INTERVIEW
理容師特集
シェービング&ヘアサロン ポノラカ レミ
今回は以前バーバーなびでご紹介させていただいたCa★nata ヘア&リラックスの佐藤 のりえさんにご紹介いただき、シェービング&ヘアサロン ポノラカのレミさんを取材させていただいた。レミ氏は理容師歴30年、ダブルライセンスを活かしてエステティックとシェービングのコラボレーションを実現。夢の国のように引き込まれる空間を作り上げ、憩いの場として現実から解放される時間を提供する髪技理容師だ。
シェービング&ヘアサロン ポノラカ
レミ
理容師歴:30年
出身校:中央理美容専門学校
出身地:北海道
得意技術:シェービング・ヘッドスパ・マッサージ
得意スタイル:ショートスタイル
こだわり:ショートスタイルならではの面白さ、特徴を感じながらスタイルを作ること
趣味:食べ歩き・旅行
サロン紹介
まずはサロンへの道順を案内する。西大島駅から徒歩約4分、西大島駅A3出口を出て、新大橋通りを大島駅方面へ直進(左方向)。大島第二小学校隣の「kn.cafa」2階にお店が位置している。大島駅からも徒歩約5分の距離だ。
セット面1席の店内は、女性オーナーならではの視点から大人の完全貸切空間を提供されている。美肌に繋がるシェービングとの出会いを通じ、その素晴らしさを伝えたいという思いで作り上げられたこだわりのサロンだ。サロン名には「癒しの女神」という意味を持つ「ポノラカ」が入っており、ハワイでフラダンスをする女性が高貴な存在として称えられることにちなんで、心を込めた癒しの空間にしたいという思いが込められている。 お店の簡単な紹介が済んだところで早速、レミ氏のインタビューを進めていくとしよう。
理容師を目指したきっかけ
バーバーなび:こんにちは、本日はよろしくお願いします。まずはレミさんが理容師を目指すことになったきっかけを教えてください。
レミ氏:よろしくお願いします。親が理容師だったことが大きなきっかけですね。ただ、15、16歳の頃の私は理容師の道を継ぐことに対して、三代目というプレッシャーを感じていた部分もありました。なので、進路を考えた時に「理容よりも魅力的な仕事が見つかれば、そちらに進もう」と思っていました。
その結果、理容師と看護師で迷ったんです。看護師は給与や環境面でとても魅力的でしたが、病院などの場所が必要という点で、理容師はハサミ一つあればどこでも仕事ができ、自分の努力次第で可能性が広がる職業だと感じたので、最終的には親の助言も後押しとなり、理容の道を選ぶことを決めました。
バーバーなび:理容師と看護師の選択があった中で、働く環境面のことや親御さんの助言のもと、理容師の道を選ばれたのですね。
レミ氏:そうですね。「蛙の子は蛙」と言いますが、やはり理容の世界に魅力を感じたんです。相当な覚悟はありましたが、高校卒業と同時に上京して通信で理容を学びながら都内のサロンに就職しました。いつかは地元・函館で理容に関わることができたらいいなと思っています。
理容業界への思い
バーバーなび:理容業界全体に対してどのような思いや考えをお持ちですか?
レミ氏:世代的なものも大きいと思うんですけど、理容と美容の違いが周知されていなかったり「顔剃りってなに?」と言われることも多いです。男性も美容室に行く時代なので、美容の方が良いイメージになっている傾向がありますが、隔てなく理容も盛り上げたいですし、女性理容師の価値を上げていきたいと考えています。その先駆者と言うとおこがましいですが、私はバリトコ時代を経験した世代ですし、そんな古き良き文化も伝えて行きたいなという思いがありますね。理容を飛び出て美容の良さも吸収しつつ、その中で理容師にしかできない技術の強みもある、というところを伝えていけたら嬉しいです。
バーバーなび:美容と理容の技術を持つレミ様だからこその思いですね。そういった部分で、レミ様は今後どのように認知を広げ、こだわりを伝えていきたいとお考えですか。
レミ氏:お客様とのお話を通して、実際に自分自身も気づかされることがあり、少し理屈っぽく聞こえるかもしれませんが、例えばシェービングというのはお顔を剃る技術で、理容の技術であることはすごく分かりやすいですよね。それと同じように、「刈り上げ」という技術についても、きちんと正しく伝えたいという気持ちがあります。
本来、刈り上げとは「総バサミ」といわれる技術でハサミを使って仕上げるものです。しかし現在は美容師さんもバリカン(クリッパー)を使って上手に刈り上げを作れるようになっています。結果的に見た目は「刈り上がっている」のですが、私たち理容師がこだわる「刈り上げ」とは少し異なります。
もちろんフェードカットのようにバリカンを使うことが必要なスタイルもあります。ハサミでは限界がある長さに仕上げるために、道具を使い分けることは大切です。ただ、本来の「刈り上げ」はハサミで作るもの。そこをきちんと興味のある方に伝えていきたいです。
理容の技術は次の世代へと受け継いでいくものですし、お客様にはもちろん理容師を目指す若い方々にも伝統的な技術やこだわりをしっかりと発信していきたいですね。今、美容師さんの中にもバーバー技術を学ぶ方が増えていますし、本当に素晴らしい技術を持った方もたくさんいます。そういった方々と切磋琢磨しながら、正しい技術や理容ならではのこだわりを次世代にり伝えていきたいです。
バーバーなび:素敵な思いをありがとうございます。
髪技理容師としてのこだわり
バーバーなび:それではこだわりを教えてください。
レミ氏:先ほどお話しした理容と美容の違いを深く伝えられることは私の強みだと思っています。そして、やはり女性理容師としての視点を大切にしていきたいという思いが強いですね。女性だからこそできること、男性だからこそできること、それぞれの強みがあると思います。もちろん共通する部分もありますが、料理人やパティシエのように、それぞれの分野ごとの得意分野や特性があると感じています。なので、女性理容師にしかできないことを築き上げ、それをしっかり発信していくことが、私のこだわりの一つかもしれません。
例えば、お客様との接し方や細やかな気配り、女性ならではの視点で提供できる技術やサービスなど、そういった強みを活かしていきたいですね。
バーバーなび:理容師の数だけこだわりはあり、レミさんならではの強み・こだわりを活かされているのですね。
レミ氏:そうですね。ただ技術を提供するだけでなく、理容師としての思いやこだわりを日々のサロンワークを通して伝えていきたいです。私の経験を発信することで、理容の魅力をもっと知ってもらえたら嬉しいですね。
お客様へのメッセージ
バーバーなび:どのようなお客様にお店に来て欲しいですか?
レミ氏:近年はストレス社会と言われる中で多くの方が日々の疲れや悩みを抱えながら頑張っていると思うんです。そういった方々にとって、サロンが「憩いの場」になることを目指しています。サロンを立ち上げる際に、一番大切にしたかったのが「現実逃避できる空間をつくること」でした。
例えば、ディズニーランドのようにゲートをくぐった瞬間に日常を忘れ、夢の世界に入り込めるような感覚。それと同じように、サロンに足を踏み入れた瞬間に忙しい日常やストレスから解放され、心からリラックスできる場所でありたいと考えています。なので、うちはサロンの内外観のギャップを持たせることで「ここは特別な場所だ」と感じていただけるように工夫しました。施術を受けることで、まるで一皮むけたような気持ちになり、晴れやかな気持ちでお帰りいただけたら嬉しいです。
バーバーなび:確かに扉を開けた時に、この空間にぐっと引き込まれる感覚がありました!
レミ氏:ありがとうございます。お客様にも響いてくれたら嬉しいです。技術はもちろん、それ以上に「心のケア」ができる場所、訪れた方にとって癒しのひとときを過ごしていただけるような、そんなサロンづくりを心がけています。
未来の理容師に向けたメッセージ
バーバーなび:理容師を目指す若者に向けたメッセージをお願いできますか。
レミ氏:厳しい世界ではありますが、裏切ることのない仕事だと私は感じています。頑張った分だけ、自分に必ず返ってきます。無駄に感じる瞬間もあるかもしれませんし、心が折れることも一度や二度じゃないかもしれません。でもその先には、必ず素晴らしい景色が待っているんです。理容の道はまるで登山のようなものだと思います。登るのは本当に辛いこともあるし、時には命がけに感じることもあるかもしれません。でも、頂上にたどり着いた時にしか見られない景色と、感じられない達成感が待っています。
「ここまで頑張ってきてよかった」と思える瞬間が必ず訪れます。挫折苦労を乗り越えた分だけ、人としても理容師としても大きく成長できる。だからこそ、逃げずに、心を強く持って進んでほしいですね。
理容師という仕事の魅力は、技術だけでなく、人とのつながりや誰かの人生に寄り添えることにもあります。辛い時こそ、自分が目指した道を思い出して、一歩ずつ前へ進んでほしいです。
バーバーなび:素敵なメッセージをありがとうございました。