THE STYLIST INTERVIEW
理容師特集
理容 OGAVEL 渋谷 孝純
今回は以前バーバーなびでご紹介させていただいたGNASTY by DAMDEE TOKYO 伊藤 慧さんにご紹介いただき、理容 OGAVELの渋谷 孝純さんを取材させていただいた。渋谷氏は山形県出身、埼玉での12年間の修行を含む 理容師歴18年のベテラン理容師だ。取材では「本音でお客様と向き合いたい」という強い姿勢が印象に残った。
理容 OGAVEL
理容師歴:18年目
出身校:ヘアーモード学院
出身地:山形県
得意技術:顔剃り、シャンプー(マッサージ)、総合調髪
得意スタイル:刈り上げなどの短いスタイル
こだわり:指先一本一本に神経を集中させた技術を提供すること。
趣味:洋服、ファッション、外での飲食、コミュニティを広げること
サロン紹介
まずはサロンへの道順をご案内しよう。豊春駅東口を出てロータリーを抜け、右手に見える個別指導塾「スクールIE」をそのまま直進する。二つ目の信号(ドラッグセイムスが目印)を右折し、しばらく直進し、コモディイイダの手前、右手に当サロンが見えてくる。
当サロンは、ストリートカルチャーとクラシックバーバーの空気を共存させた、独自の世界観を持つ理容室。壁面にはアートデッキやポップアートが並び、ニュアンス照明が空間に深みを加える。カットブースには存在感のあるヴィンテージバーバーチェアを配し、スタイルづくりに集中できる環境を整えている。居心地の良さを保ちながら、無駄を削ぎ落としたレイアウトが特徴だ。落ち着いた照明の中、ラフすぎず、気取らず、自然体で過ごせる場所――それが当サロンだ。
理容師を目指したきっかけ
バーバーなび: こんにちは、本日はよろしくお願いします。まずは渋谷さんが理容師を目指すことになったきっかけを教えてください。
渋谷氏: よろしくお願いします。きっかけは本当に単純なのですが、小学校6年生の時にドラマ『ビューティフルライフ』を見たことです。当時、洋服や髪型といったジャンルに興味がありましたが、作中で木村拓哉さんがバイクに乗り、私服で仕事をする姿がとてもかっこよく映り、美容師という職業に憧れを抱きました。
バーバーなび: ありがとうございます。そこから理容師の道へ進まれたのは、どのような理由だったのでしょうか。
渋谷氏: 中学校や高校でも周りには美容師になる、と公言していたのですが、いざ専門学校に進学するとなった時に、母親から「男性技術者としてやっていくなら床屋の方が長くやっていけるみたいよ」と言われました。もともと女性の髪をやりたいわけではなかったので、「じゃあ床屋さんかな」と、当時は理容師と美容師の違いもあまり分からずに、とにかく髪を切る仕事として理容師の専門学校に進学しました。母親の一言が、理容師への決定的な転機になりましたね。
理容業界への思い
バーバーなび: 理容業界全体に対してどのような思いや考えをお持ちですか?
渋谷氏: 私たちが理容の世界に入った頃は、ほかの店舗に切りに行く際にも店名を隠したり、「スパイのように見えるのではないか」と気を遣うような雰囲気がありました。(笑)しかし現在は、理容師同士で業界全体を盛り上げていこうという風潮が広がっており、とても良い方向に変化していると感じています。かつては「床屋はダサい」「おじさんが行く場所」といったイメージを持たれがちな時期もありましたが、今は「かっこいい」「男なら床屋だろう」という捉え方が強くなってきました。尊敬できる仲間も増えていますし、このまま“イケている理容師がたくさんいる”ということをもっと広めていきたいと思っています。
髪技理容師としてのこだわり
バーバーなび: それでは渋谷さんの理容師としてのこだわりを教えてください。
渋谷氏: 僕は、何よりもお客様との人間関係をすごく大事にしたいと思っています。数あるサロンの中から僕を選んで来てくれるわけですから、そこを単なる技術提供だけで終わらせるのではなく、しっかりと人間関係を構築したいというのがあるかもしれません。
バーバーなび: お客様との関係性はやはり重要ですよね。技術や施術の面でのこだわりはいかがでしょうか?
渋谷氏: 施術面では、店舗展開をしたり、従業員を増やしたりするのではなく、できる限りずっと1対1でやり続けることですね。憧れたドラマの風景のように、自分一人でやって、全てのお客さんに技術が行き届くような流れでやりたいので特に僕自身が好きな技術である顔剃りやシャンプーは、アシスタントに任せるのではなく、自分で全て対応したいという思いがあります。また、お客様に対しては、かっこつけたり着飾ったりせずに、自分の言葉で本性で向き合いたい。きれいな言葉を使えなくても、感情がちゃんと伝わる方がいいと思っています。
お客様へのメッセージ
バーバーなび: どのようなお客様にお店に来て欲しいですか?
渋谷氏: 僕自身が、他のお店に行った時に、スタッフがたくさんいると、会話を聞かれてるんじゃないかとか、変なこと言ったら笑われちゃうんじゃないかとか、ちょっと緊張してしまうタイプでした。なので、うちのように1対1でやっている分、周りを気にせず、敷居が高くなく来てもらえる方に来ていただきたいです。
バーバーなび: 確かにマンツーマンだからこその安心感がありますね。
渋谷氏: はい。あとは、床屋さんとして当たり前の技術を一生懸命やっているつもりなので、本当に「ちゃんとした床屋に行きたい」という方には自信を持って技術を提供したいと思っています。特に、僕が修行先で重視してきたシャンプーや顔剃り(触感技術)、総合調髪の技術を求めているお客様に、ぜひ来ていただきたいです。
未来の理容師に向けたメッセージ
バーバーなび: 理容師を目指す若者に向けたメッセージをお願いできますか。
渋谷氏: これは、僕が昔の自分に話すとしたら、という視点でお話しさせてください。理容師という仕事は、最初は下積みが長い、給料が安い、大変だというイメージが強い仕事だとは思います。僕も途中で挫折しそうになったことはありますが、諦めずに10年目までやってきて今思うと、本当にいい仕事だなって思うんです。この仕事は、山や谷、むしろ谷がいっぱいあるかもしれませんが、そこを耐え抜いたら絶対いい仕事だと感じていますし、これ以上のいい仕事はないと最近すごく思います。なので、コツコツとめげずに続けてもらいたいですね。一踏ん張りしてやっていれば、必ずいい未来になるんじゃないかと僕は信じています。自分の手で本当に技術を売って生きていけるこの仕事は、改めてすごいことだと若い人たちに感じてもらえたら嬉しいです。
また、床屋としての高い技術の提供は大前提としてですが、それ以上にまた会いたい!と思ってもらえる人間力がなにより大事なのではと思っています。これは僕もまだまだなので自分への課題でもありますが、これから理容師を目指す方々にメッセージとしてお伝えできればと思います。
バーバーなび: 地道にコツコツと続けていく先に素敵な未来が待っているのですね。素敵なメッセージをありがとうございました。