今回は南阿佐ヶ谷エリアで髪技理容師に出会うためにリサーチをしていたところ、オカダ理容室さんを見つけたので取材を申し込むとオーナーの岡田さんがインタビューを快諾してくださった。岡田氏は理容師歴24年目、3店舗でのサロン経験を経て、現在のサロンを営まれている。お客様一人ひとりのライフスタイルに寄り添い、カットで仕上げる「ちょうどいい床屋スタイル」を提供する髪技理容師だ。
Profile
Hayato Okada (岡田勇人)
オカダ理容室
理容師歴:24年
出身校:東京理容専修学校
出身地:東京都杉並区
得意技術:カット、シャンプー、シェービング
得意スタイル:癖を活かしたスタイル
こだわり:カウンセリングで汲み取ったお客様にちょうどいいスタイルを提供すること。
趣味:銭湯・自転車・旅行・写真・古着
オカダ理容室について
まずはサロンへの道順を案内しよう。南阿佐ケ谷駅出口1を出るとドトール方面に直進する。3分ほど歩くと左手に昴ビルがあるのでそこの1階だ。
1911年創業の113年続く床屋であるオカダ理容室は、白く清潔感のある店内で、「腕のいい理容師がいる、カット中のコミュニケーションが楽しい!」と、満足度の高い口コミが寄せられるサロンだ。
お店の簡単な紹介が済んだところで早速、岡田氏のインタビューを進めていくとしよう。
オカダ理容室 岡田 勇人氏
理容師を目指したきっかけ
バーバーなび:こんにちは、本日はよろしくお願いします。まず岡田さんが理容師を目指すことになったきっかけを教えてください。
岡田氏:よろしくお願いします。きっかけは、やっぱり実家が代々の床屋だったことですね。1911年創業の113年続く床屋で、両親も祖父母もみんな床屋。生まれたときから周りの大人が全員床屋だった環境で育ちました。なので、1度床屋をやってみようと思ったんです。特に「頑張って床屋になれ」と言われたわけではなく、自然とこの道を選んだ感じですね。
バーバーなび:綺麗な店舗なので、そんな老舗だったとは気づきませんでした!
岡田氏:そうなんですよね。僕自身、自分から老舗だって大々的に発信しているわけでもないし、周りからもうちょっと老舗感出しなよなんて言われることもあるんですけど、それはちょっと違うなって思ってるんです。
きっかけって話から付随すると、床屋だと忘れられないように、改装中はずっとサインポールを回していたんですけど、ある日それを女子高生が「可愛い」って写真に撮っていて、それを見たときこんなふうにうちの存在に気づいてもらえるんだと思いました。でも、営業終わりにうちの前を通るサラリーマンは真っ暗だから気づかず通り過ぎてるんじゃないかと感じたんです。
それがきっかけで改装後は、サインポールの近くに電話番号を載せて、1日中回すようにしました。
すると、それだけで集客が驚くほど伸びたんです。うちにはまだまだ伸び代があるんだなと気づきましたし、ちょうど日本がコロナ禍に入った頃だったこともあってか、そこからお客様の層がガラッと変わった気がしますね。
理容業界への思い
バーバーなび:理容業界全体に対してどのような思いや考えをお持ちですか?
岡田氏:僕が理容師になった頃から、成り手不足の問題にはずっと直面していました。理容師という仕事が魅力的に映らないからなのかもしれませんね。
若いお客様から「自分に向いている仕事は何ですか?」と聞かれることがあります。でも正直なところ、学生のうちは秀でた特技がない限り、特定の職業が「向いている」なんてなかなか分からないんですよね。
だから、僕は「好きなこと、やりたいことをやりなさい」と伝えています。
その方が、たとえ失敗しても頑張れるし、誰かに「これをやりなさい」と言われてやる人よりも成長できると思うんです。冗談混じりで「じゃあ床屋になれば?」なんて言うと、「いや、床屋は無理です」と即答されることがよくあります(笑)。
こっちも冗談混じりで言っている部分があったからだとは思うんですけどね(笑)
あ、向いてないかもしれませんが、僕は好きでやってますよ、床屋(笑)
バーバーなび:理容業界へのイメージを業界全体で変えていくことが今後の課題ですね。サロンを引き継いだ経緯など、お聞きしてもよろしいですか?
岡田氏:そうですね。父が急に他界したとき、母と二人で何もわからないまま店を引き継いだんです。その頃、母が「店をたたもうかな」と言い出して。でもその時、僕は「俺が続けるよ」って言いました。どうせ潰すんだったら、自分が好きなようにやってから潰すほうが納得できるし、母にその役割を背負わせるわけにはいかないと思ったんです。
ある意味で「自由にしていいよ」と言われたのは、気が楽でもありましたね。わからないなりに、自分のやりたいようにやった結果、今こうしてなんとかなっています。意外と「床屋ってやれるもんだな」って思えるようになりましたね。
髪技理容師としてのこだわり
バーバーなび:それではこだわりを教えてください。
岡田氏:僕のこだわりは、何かを「付け足す」ことではなく、「引いていく」ことにあります。こだわりやあり方をあげればキリがありませんが、「みんな違ってみんないい」という感覚を大切にしています。だから、まずはお客様の話をよく聞き、納得していただいてからカットを始めるよう心がけています。施術中も実際に触れて確認していただきながら進めることを大切にしています。
うちは「髪切り屋」です。カットでその人にちょうどいいスタイルを提供すること、最適解まで引き算することにこだわりたいと思っています。
バーバーなび:「ちょうどいい」って人それぞれに違うので、とても大切な部分ですね。
岡田氏:自分がやれることをやっているだけなんですけど、お客さんにはその技術を口にしないと伝わらないと思っています。正直僕自身に得意な技術があるわけではないんですけど、セットが難しいとか、このアレンジが難しいって悩みを聞いてそこを解決できるスタイルを提供したいと思っています。その時の流行りを追いかけるのも大切だと思うんですけど、それを押し付けるは違うと思うし、カウンセリングを通してなかなか言えない希望とかイメージに寄り添ってスタイルを作り上げることで悩みを解決できるってことに意識しています。
スタイリング剤を使う人、使わない人でスタイルを変えることもありますし、お客様によってライフスタイルが違うので、その辺の違いを汲み取ったスタイルづくりにこだわりを持ちたいと思っています。
技術が全てとは思っていないので、もちろんうまいに越したことはないですけど、それ以外の部分でお客様に気に入ってもらえる部分を持つことも大切じゃないかなって思います。
バーバーなび:ありがとうございます。岡田さんはInstagramを更新されていますがヘアスタイルを投稿しないことへもこだわりがあるのでしょうか。
岡田氏:そうですね。Instagramに投稿する時は、理容師としてヘアスタイルをアップすることにはあまりこだわっていません。そこで集客を狙っているわけでもなく、フォロワー数も多いわけではないですし、実際に来てくれているお客様が見る前提で投稿しています。だから、理容師目線で技術の凄さを露骨にアピールする写真よりも、床屋じゃない日常の投稿をすることが多いですね。そういった投稿を見て来てくださるお客様が多いんじゃないかなとも思っています。
たまにはヘアスタイルをアップして、「まだ床屋やっていますよ」ってアピールすることもありますけどね(笑)。
また、お客様が誰かにうちを紹介したいと思ったときに、僕のページを見せてイメージが湧かないのも申し訳ないので、そういう意味でヘアスタイルをアップすることもあります。
「あのラーメン屋美味しかったよ」とか、旅行に行った話とか、そういう投稿の方が、お客様との会話のきっかけになりますし、「あれ見たよ」って話が広がる空間が好きなんです。そういうやりとりを通じて、お客様と仲良くなれるのが楽しいですね。
お客様へのメッセージ
バーバーなび:どのようなお客様にお店に来て欲しいですか?
岡田氏:お客様との出会いには、紹介だったり、フラッと立ち寄ってくださる方だったり、さまざまなきっかけがありますが、すべてご縁だと思っています。だからこそ、その出会いを大切にしたいと考えています。
特に、僕のライフスタイルを発信しているInstagramを見て来店してくださるお客様とは、自然と会話が弾みますし、お互いに心地よい空間を共有できていると感じるので、そういう方々との出会いが本当に嬉しいので、僕と近い空気感を持った方々にはきっと満足いただけると思っています。
バーバーなび:岡田さんのお人柄から人としてって部分で繋がってもらえるお客様も多くいらっしゃるのですね。
岡田氏:ありがとうございます、そうだと嬉しいですね。うちは紹介で来てくださるお客様もとても多いので、お客様から信頼されている証だと思って、より言葉選びや細かな部分も大切にしたいと思いますし、僕自身、馴れ馴れしく距離をとってしまいがちなので、最初はちょっとかしこまって丁寧な話し方をしてみたりして(笑)、コミュニケーションを大事にしています。
バーバーなび:素敵ですね!ホテルが近いことから海外のお客様も多いですか。
岡田氏:多いですね。海外のお客様には、僕は英語も全然喋れないからどの国の方でも身振り手振りでやり過ごしているんですけど、すんごい来てくれるんです。その中で意識しているのは「ありがとうございました」って伝えることですね。
ついさっき、カウンセリングとコミュニケーションを大事にしてるって言ったのがウソみたいですね(笑)。
とりあえず英語からがんばります。
未来の理容師に向けたメッセージ
バーバーなび:理容師を目指す若者に向けたメッセージをお願いできますか。
岡田氏:理容学生から見つけてもらえることもありがたいですし、繋がる縁も大切にしたいと思っています。
これから嫌な思いをすることもあると思うし、挫折することもあると思うんですけど、結局は好きだったら続けられると思うんです。だから、なんでもいいから好きなことに注力することが大事なんじゃないかなって思います。実際、僕がそうだったように続けることで違う景色が見えることもあると思うから、まずは続けるために好きなことを見つけることですね。
いろんなお店や仕事を見て、「これは自分の好きなスタイルじゃない」って思うこともあるでしょうし、「自分だったらこうしたい」って気づくことも必要な過程で、そんな中でも頑張ってくださいじゃないけど、全ての経験に意味を感じて成長してほしいなって思います。
実際、僕の出会ったオーナーさんで1人、めちゃめちゃ褒めてくれる方がいて、当時あまり自信が無かった自分は、これでいいんだ!って思えたし自信をもらうことができました。その方がこのサロンを継ぐ際にも背中を押してくれたので、理容師として、人としてのあり方みたいなものを、あの時ふんわり教えてもらったんじゃないかと勝手に思っています。
この業界は技術だけではない部分があるので、そういった部分にもこれから気づいていってもらえると嬉しいなと思います。
バーバーなび:素敵なメッセージをありがとうございました。
最後に
バーバーなび:本日はお忙しい中取材のご協力いただきありがとうございました。最後に岡田さんおすすめのメニューと作例を紹介してもらえますか?
岡田氏:はい。こちらこそありがとうございました。おすすめのメニューをご紹介します。
髪技理容師おすすめメニュー 総合調髪¥5,500
モデル写真提供:オカダ理容室
モデル写真提供:オカダ理容室
モデル写真提供:オカダ理容室
店舗基本情報
店舗名 | オカダ理容室 |
住所 | 〒166-0015 東京都杉並区成田東5丁目39−10 昴ビル |
営業時間・定休日 | 11時00分~19時00分 定休日:月曜日、火曜日 |
最寄駅沿線 | 東京メトロ丸ノ内線 |
最寄駅 | 南阿佐ケ谷駅 |
電話番号 | 03-3398-2515 |
ホームページ | https://www.instagram.com/hytokd/ |
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