島田氏は独立して8年目を迎え、八王子市でbarbershop2nd.を一人で経営されている。現場で働きながら通信制で理容免許を取得した自身の経験から、次世代の理容師を目指す人たちへの深い思いを抱いている。プライベートでは、父としても奮闘しながら理容師としての技術を磨き続ける髪技理容師だ。
Kei Shimada (島田啓)
barbershop2nd.
理容師歴:25年
出身校:窪田理容美容専門学校
出身地:長崎県
得意技術:カット全般
得意スタイル:刈り上げ・フェード
こだわり:施術中の所作・言葉遣いを丁寧にすること。心地のいい空間作り
趣味:フットサル・キャンプ・映画鑑賞
barbershop2nd. について
まず、サロンへの道順を案内させていただこう。駅徒歩3分、京王堀之内駅を出たらファミリーマート・セブンイレブン方面へと進み信号を左折し高架下をくぐると左手にお目当てのサロンが見つかるだろう。
サロン内にはクラシックなバーバーチェアが置かれており、お客様の日常に癒しと寛ぎの空間をもたらしてくれるだろう。待合室にはビンテージ感漂うソファーや欧米風でオシャレな小物など、島田氏の好きなものが詰まったこだわりを感じる内装となっている。
常連客からは、技術の高さはもちろんだが、何よりも島田氏の人柄の良さが理由でリピートしているという声が多い。仕上がりについても「いつも想像以上」「大満足」といった評価を受けており、技術面と人間性の両面で支持されていることが大きなポイントである。
お店の簡単な紹介が済んだところで早速、島田氏のインタビューを進めていくとしよう。
barbershop2nd. 島田 啓氏
理容師を目指したきっかけ
バーバーなび:こんにちは、本日はよろしくお願いします。まず島田さんが理容師を目指すことになったきっかけを教えてください。
島田氏:よろしくお願いします。理容師の仕事は正直に言ってしまうと勢いと直感、ノリではじめました。美容師ではなく理容師になったわけは、女性と話すことに苦手意識があったことからです。美容院へ行くと、どこか女子の部屋に遊びに行った気分になり落ち着かなかった経験から、今はそんなことないと思うんですけど当時のそんなむずがゆさから美容ではく、理容の道を選択しました。つまり自分は床屋の方が居心地がよかったわけです。だからお客さんを迎え入れるなら、男性相手の方が自分には向いていると思って理容をやってみようと思いました。
理容業界への思い
バーバーなび:理容業界全体に対してはどのような思いや考えをお持ちですか?
島田氏:理容業界での初期の経験は正直に言って大変でした。現場に一人、理美容師免許保持者がいても無免許の人は本来首から上は触ることができない、そうすると基本的には掃除や洗濯をするしかなくて、最低賃金しかもらえない。通信制に通いながら、現場で経験を上げたい理容師・美容師を目指す人にとって、それってとてもやりにくい環境だと思うし、実際僕はそう感じていました。あとはうちに来てくださるお客様に、今理容学校に通っている方がいらっしゃるのですが、理容を学ぶ人の人口が少ないということを聞きました。どこか古臭いというイメージがあったり昔の床屋ってイメージがあるんですよね。今でこそ、おしゃれなバーバーっていうのが流行ってきていますが、もっとこのおしゃれな流れが広まって理容業界を目指す人が増えればいいなと思いますし、通信からでも学びやすい環境ができればと思います。
バーバーなび:通信から理容を学ばれてきた方からの角度で理容への思いをお伺いすることができ、大変興味深いです。
島田氏:そうですね。そもそも通信で理容を学ぶ方の人口が少ないということから、問題視されないのでは?、とも感じています。あとはもう免許を取ってしまえば気にならないことっていうか…。僕はコソコソできるタイプではないので、とてもそういった部分が今も引っ掛かっています。どこか悪いことをしているわけではないのに、理容を学びたいだけなのに後ろ指刺されるじゃないけど、コソコソしている風に学ぶという環境に疑問を感じています。これから理容を通信で目指す方がいたら、堂々と学べる場所ができてほしいと思いますし理容の仕事が素敵な仕事だよっていうことがもっと広まっていけばいいなと思います。
バーバーなび:これからの教育の場での変化が重要な課題ですね。
髪技理容師としてのこだわり
バーバーなび:ありがとうございます。それではこだわりを教えてください。
島田氏:理容師としてのしてのこだわりは、技術面はもちろんなのですが細かな所作に気をつけるようにしています。お客様から見えるか見えないかの手元の動きだったり、一つ一つの言葉の選び方だったり。例えば早口にならない・軽々しくならない・踏み込まないと言った部分ですね。言葉も鏡に映る姿も丁寧にして、お客様にとって居心地のいい空間になるようにしていきたいと思っています。
バーバーなび:所作から空間作りを意識されてこだわっているのですね。
島田氏:そうですね。もともと若い方向けの美容室に居心地の悪さを感じた方々を受け入れたいという思いから始まっているので、居心地の良さは意識している部分です。僕たちの世代は90年代に青春を過ごし、音楽や車に夢中だった時代を生きてきたので、そういったカルチャーを語れる場所にもしたいという気持ちがあります。理容室がただ髪を切るだけの場ではなく、共有できる趣味や思い出が集まる場としても機能してほしいと考えています。
バーバーなび:カルチャーを語る場所として、そういった方にとって大事な場所になっているんですね。バーバーなびの編集長も、若い頃は美容室に行っていたけど、たまたま入った理容師の居心地の良さに気付き、この居心地のよさだったり、かっこよさを発信したいと思ったと言っていました。
島田氏:おっしゃる通りですね。自分もそういったきっかけになれればと思います
お客様へのメッセージ
バーバーなび:どのようなお客様にお店に来て欲しいですか?
島田氏:もともと独立をした時に思っていたお店のターゲット層としては、30〜50代のミドル世代の方です。美容室に居心地が悪くなってきたなと感じるようになってきた方の受け皿になりたい。だからそういったことを感じている方に来ていただきたいと思ってオープンしました。しかしながら実際色々な方に来ていただいていて思うことは、地元に根付き、言葉の話せない赤ちゃんから上は94歳の方まで月に1度の楽しみだと言ってきてくださる姿を目の当たりにして、今は本当に正直にどんな方にでも来ていただきたいという気持ちです。
バーバーなび:インスタグラムを拝見させていただいてお子様も来店されるのだなと思っていました。
島田氏:そうなんです。もともと安価な価格設定ではないため、お子様が来店されることは想定していませんでした。現在もお子様向けのメニューは出していないのですが、ママ友さんたちの口コミのおかげで、今では来てくださるお子様も増えて来たことから、間口広く受け入れる体制をとらせてもらっています。理容の良さが広がっていくことが嬉しいですね。
未来の理容師に向けたメッセージ
バーバーなび:理容師を目指す若者に向けたメッセージもお願いできますか?
島田氏:まずは努力ですね。若い時にいっぱい努力をするからこそ、その努力が30・40代で花開くかもしれない。必ずしもその努力が報われるとは言わないけれど、成功している人は必ず努力をしています。20代だからできる失敗もあるから、とにかく今は努力です。30代・40代でする努力とは質が違いますからね。
バーバーなび:学生の頃の努力がとても大切ですね。
島田氏:そうですね。しかしながら実は今度、はじめてうちのお店で一緒に働く人が増えるんですけど、努力の中でも人間関係でのしがらみで辛い思いをする努力はしないでいいと、はじめに伝えています。むしろ逆に人間関係のしがらみからは逃げてくださいと思っているからです。これは努力しても仕方のないことだと思っているから、僕自身も過去に人間関係で合わないと思う人がいたこともありました。だから未来の理容師を目指す方には理美容室はたくさんあるのだから、人間関係で悩んでいるのであれば1つの場所にこだわらずにそこから離れてくださいと伝えたい。理容を嫌いになったわけじゃないのなら、学びたい・続けたいという思いがあるのであれば、人間関係でやめてしまおうと思うのではなく、離れてください本当に。まあ最終的にはとにかく、一生懸命頑張って「うわ〜」ってなることがあっても死にはしないさ、なんとかなるよ!ってことを言いたいです。(笑)
バーバーなび:はじめて働く人が増えるとのことですが今後も雇用を広げるお考えがありますか。
島田氏:正直今のところはないですね、というのも今回新しく迎えることになった方は、元々お客様で来店してくださっていた方で、日々の会話をしている中でお悩みを聞いてアドバイスしてのやり取りをしたりをしていたんですけど、「バーバーを目指したい」と伝えてくれたことがきっかけで「じゃあ一緒にやってみるか」といった感じで迎えることになったんです。一緒に飲みに行くこともある方なので、もう甥っ子というか親戚の感覚で、お店もカツカツなわけじゃないから、面倒みるかといった感じです。それがなければ、一人が居心地いいのでこれ以上の雇用は今のところないです。今後育てるのっていいなって考えに変わるかもしれないですけど。
バーバーなび:素敵なご縁があったのですね。それでは話が戻ってしまうのですが、理容技術を学ぶこと以外で大切だと思うことはありますか。
島田氏:好きなように楽しく生きてほしいなと思います。理容師は服装も髪型も自由な職場なのに、どこか体育会系の人がいたり昔の昭和の常識を押し付けてくる人もいると思います。その子たちが、それをどうのこうのできるわけじゃないから、上の人間が変わってあげる努力が必要です。時代にあった距離感だったりコミュニケーションで。それができない上司なのならもう逃げて、違うフィールドがたくさんあるから離れてください。昔の僕は逃げること=恥ずかしいって思いがあって、立ち向かってどこか無理してやってきたけど、今の時代はそこは努力するところじゃないかなって思います。「へえ、こんな人がいるんだ」くらいでフェードアウトしていいんですよ。
バーバーなび:ご自身の経験から貴重なメッセージありがとうございました。
最後に
バーバーなび:本日はお忙しい中取材のご協力いただきありがとうございました。最後に島田さんからおすすめのメニューを紹介してもらえますか?
島田氏:はい。こちらこそありがとうございました。こちらでございます。
髪技理容師おすすめメニュープレミアムコース ¥10,000
店舗基本情報
店舗名 | barbershop2nd. |
住所 | 東京都八王子市別所1丁目9−1 マルシェなかよし 102 |
営業時間・定休日 | 営業時間 月曜日~土曜日 10:00~20:00 (最終受付20:00) 定休日 日曜日・第一月曜日・第三月曜日 |
最寄駅沿線 | 京王相模原線 |
最寄駅 | 京王堀之内駅 |
電話番号 | 042-682-3422 |
ホームページ | https://barbershop-2nd.com |
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