oto hair&shave 宮田 千夏

今回は、以前バーバーなびでご紹介したShaving salon Arikataの古谷 夏美さんからご縁をいただき、専門学校時代に指導を受けた恩師でもあるoto hair & shaveの宮田 千夏さんを取材させていただいた。宮田氏は理容師歴12年、お顔そりや首まわりのリンパセラピーなど“体感”を重視した施術を得意とする理容師。細やかな心配りと、心地よさを追求した空間づくりにも定評がある。

CREDIT : Photo/Yuki 文/Yuki 編集/Manami(バーバーなび)

oto hair&shave

Chinatsu Miyata(宮田 千夏)

理容師歴:12年
出身校:国際理容美容専門学校
出身地:千葉県
得意技術:カット・シェービング
得意スタイル:ショートボブと合わせたネックシェービングの施術
こだわり:お客様が心地よく感じていただける施術をすること
趣味:子供とお出かけ・ディズニー

サロン紹介

まずはサロンへの道順をご案内しよう。oto hair&shaveは、清澄白河駅から徒歩1分というアクセスの良さが魅力。A2出口を出て右手へ進み、そのまま道なりに歩けば、わずか1分ほどでサロンに到着する。シンプルなルートで迷う心配もなく、通いやすさも魅力のひとつだ。

理容・美容のダブルライセンスを活かした施術が特徴のサロン。性別を問わず一人ひとりに似合うスタイル提案に力を入れており、技術と心配りの両面からサポートが行われている。 全席に“夢シャンプー台”を導入しているため、シャンプーやヘッドスパも座ったまま施術が可能とされ、快適な時間が過ごせる点も魅力のひとつ。さらに、個室空間で行われるレディースシェービングは、身も心もほぐれるような癒しのリラックスタイムを演出してくれるだろう。

理容師を目指したきっかけ

バーバーなび:こんにちは。本日はよろしくお願いします。まず、宮田さんが理容師を目指すことになったきっかけを教えていただけますか。

宮田氏:よろしくお願いします。叔母が美容師だったこともあり、幼い頃から七五三や成人式の着付けなど、さまざまな節目でお世話になってきました。家族にも喜んでもらえる素敵な仕事だという印象が自然と芽生え、子どもの頃から美容師になりたいという想いを抱いていました。将来自分に子どもが生まれたら、髪を切ってあげたいという気持ちもあり、そうした家族の喜びを身近に感じる中で、この道に進むことを決意しました。

バーバーなび:ありがとうございます。ダブルライセンスをお持ちとのことですが、最初に取得されたのは美容師免許だったのですか。

宮田氏:いえ、最初に取得したのは理容師免許です。二つ上の姉が私と同じく美容師志望だったのですが、オープンキャンパスに参加した際に美容と理容の違いについて説明を受け、シェービングの魅力を知ったことで理容科へ進むことを決めました。私も進路で迷っていたとき「理容もいいよ」と声をかけられたことがきっかけで、私自身も理容に意識が向くようになりました。もともとエステやブライダルにも関心があったので、そういった分野とつながりのある業界であることにも惹かれました。美容分野は習得者が多く、技術が埋もれてしまうこともありますが、理容、とくにシェービング技術にはまだ個人の強みを見つけ発揮できる余地があり、自分だからこそ提供できる価値を見つけられるかもしれないと感じ、姉からの助言や、理容科の先生の熱意に背中を押され、最終的に理容の道を選びました。何より当時高校生だった私は、楽しそうに学ぶ姉の姿が印象的で、学校を休んでまで姉の出場するコンテストを見に行ったこともあります。生き生きとしたその姿に強く惹かれ、自分も目指したいと思うようになりました。

理容業界への思い

バーバーなび:理容業界全体に対して、どのような思いや考えをお持ちでしょうか。

宮田氏:現在は主人と二人でサロンを経営しています。主人は代々理容業を営む家庭に生まれ、私たちで五代目になります。このような環境に生まれたこと、そして技術やご縁をつないでくださった方々への感謝の気持ちを、常に大切にしたいと考えています。AIの発展が進む中でも、シェービングをはじめとした理容の技術は他に代わることができないものとして、今なお理容師という仕事が社会に必要とされていることに有り難さを感じています。だからこそ、まずは感謝の気持ちを忘れずにいたいと考えています。不安に感じている点としては、やはり担い手の不足です。以前、理容学校で職員として働いていたことがあるのですが、特に女性の入学者数が年々減少している現状に、毎年のように強い危機感を抱いていました。このままでは、本当に途絶えてしまうのではないかと感じたこともあります。

バーバーなび:教員を経験されたことで、現場ならではの実感をお持ちなのですね。今後、そうした点に対して取り組んでいきたいことはありますか。

宮田氏:まずは「知ってもらうこと」が何よりも重要だと考えています。実際、私自身も理容と美容の違いがよく分からなかったところからのスタートでしたので、まずはその違いや魅力を伝えることが第一歩だと思っています。職員時代には高校を訪問し、まずは先生方に「理容師」という職業そのものを知っていただく活動も行っていました。その中で強く感じたのは、「そもそも理容という選択肢が知られていない」という現実でした。「理美容業界は大変そう」と言われたこともありましたし、実際にオープンキャンパスへ来てくれた生徒たちの反応を見ても、急に関心が高まるということは少なく、限界を感じる場面も多くありました。現在はサロン営業を中心に活動しておりますが、先生方からお声がけをいただいたこともあり、次回のオープンキャンパスでもお手伝いさせていただく予定です。土曜日は本来、理容業では休みを取りにくい日ではありますが、今の状況を考えるとそうも言っていられず、自ら足を運ぶことを決めました。現場で楽しく働いている理容師の姿を見せていくこと、そしてその魅力を“魅せる”ことが大切だと感じています。

バーバーなび:実際に現場で働いている方の声を届けることには、大きな意義がありますね。

宮田氏:そうですね。求人を出すことも大切だとは思いますが、学生の数が少ないからといって待つばかりでは状況は変わらないと思います。学生を増やすためのアクションを、私たちの側から積極的に起こしていく必要があると考えています。土日は休めないという風潮があるのは事実ですが、年に一、二度の母校のオープンキャンパスであれば、業界全体でローテーションを組むような形で協力し合いながら参加していく。それが、未来の理容師を育てるための一歩になると信じていますし、業界にとっても大きな強みになるはずです。

バーバーなび:教員としての経験をお持ちの宮田さんだからこそ語れる、非常に重みのあるお言葉だと感じました。

髪技理容師としてのこだわり

バーバーなび:それでは、宮田さんのこだわりについて教えていただけますか。

宮田氏:心地よさを大切にしています。主人の両親の代から通ってくださるお客様もいらっしゃいますので、空間づくりにおいては女性らしさに偏りすぎず、かといって男性的すぎない、どちらのお客様にとっても落ち着けるような雰囲気を意識しています。完全個室では緊張してしまうという方もいらっしゃるため、適度に周囲の気配が感じられる半個室のつくりにすることで、安心感を得ていただけるよう工夫しています。

バーバーなび:入りやすさを大事にされているのですね。実際、とても安心できる空気感のあるサロンだと感じました。

宮田氏:ありがとうございます。それから、体感としての技術も大切にしています。施術そのものがお客様にとって心地よいものであることはもちろん、使用する道具にも配慮しています。たとえばタオルは今治タオルを使用し、刷毛やレザー本体も男女それぞれで種類を使い分けており、細かな点ではありますが、お客様に触れるものには特に気を配っています。

バーバーなび:そうした細やかな心配りは、お客様にとっても嬉しいものですね。

宮田氏:そうですね。私自身も、お客様の視点を学ぶためにセミナーへ参加することがありますし、他のサロンに足を運んで、自分の肌でどのような技術や接客が提供されているのかを体験するようにしています。とはいえ、自分自身のレザーの当たり方を体感することはできませんので、そうした理由から、美剃師検定という資格を受けることにしました。この検定は、筆記と実技の両方を行い、現場で活躍する理容師同士がペアとなって採点を行います。他者の評価によって、自分の技術を数値化し客観的に見つめ直すことができる点に意義を感じていますし、自分一人の満足で終わらせず、外からの刺激やアドバイスを通して学びを深めることを心がけています。

お客様へのメッセージ

バーバーなび:どのようなお客様にご来店いただけたら嬉しいと感じていらっしゃいますか。

宮田氏:施術においては相性も大切だと感じているため、私たちの雰囲気や考え方に共感してくださる方にお越しいただけたら嬉しく思います。男性には総合調髪というスタイルが定着していますが、当店では女性のお客様にも、ヘアからシェービングまで一連の流れをご提供できることを強みとしています。毎月のカット・カラー・トリートメントに加えて、シェービングで肌を整えるという習慣が、もっと一般的になればと思います。かつてはシェービングに特化したサロンの開業も検討していましたが、男性にとっての総合調髪のように、女性にとってもヘアとシェービングの両方を自然に受けられるスタイルが広がってほしいという思いが強くなったことから、当店だからこそ実現できるサービスがあると感じ、今後も女性のお客様に対して、ヘアとシェービングの両方をご提案できるサロンでありたいと考えています。

バーバーなび:確かに、ひとつのサロンでトータルケアができるのは大きな魅力ですね。

宮田氏:そうですね。特にショートカットの女性にとっては、襟足を整えることで印象が大きく変わることもありますので、そのようなケアがもっと当たり前になればと感じています。また、シェービングについても、スキンケアの一環として自然に取り入れられる時代が来れば嬉しいですね。

未来の理容師に向けたメッセージ

バーバーなび:理容師を目指す若い方々へ、メッセージをお願いできますか。

宮田氏:進路に迷っている方には、まず「手に職があることの強み」を知っていただきたいと思います。帰省した際には、ハサミ一本で甥や姪の髪を整えてあげることができ、直接感謝の言葉をもらえる仕事です。祖父が老人ホームに入所していた際も、施設でカットをしたことでとても喜んでもらえた経験があります。そうした日々を通じて、「手に職を持つことの価値」を実感しましたし、理容師にはブライダルシェービングといった専門性の高い技術があり、結婚式場からの依頼で、道具を持参してシェービングエステを施術する仕事もしています。

今、理容を学んでいる学生の方々には、どうか諦めずに進んでほしいと伝えたいです。昨今では「35歳までに人生のビッグイベントが集中する時代」とも言われています。理容科を選択したという時点で、すでに進むべき方向性は定まっているようなものですから、まずは国家資格を取得し、そのうえでライフスタイルを組み立てていくことで、迷った時にも自分の軸に立ち返ることができると思います。お店を持ちたいという夢があるのであれば、それだけでワクワクする気持ちになれるはずですし、そうした夢に向かって、自分が心からワクワクできる人生設計を、ぜひ一度紙に書き留めてみてほしいと思います。スマートフォンにメモを残すのも良いですが、あえて手書きで残しておくことで、挫折しそうな時にふと読み返し、当時の気持ちを思い出せることもあるはずです。どうか諦めずに、しっかりと前を向いて進んでいってください。

バーバーなび:心に響く素晴らしいメッセージをありがとうございました。

理容師のおすすめメニュー

SHOP INFORMATION

  • 店舗名:oto hair&shave
  • 住所:東京都江東区白河1-7-15
  • 営業時間(平日):平日10時~21時30分(カット最終受付20時30分)
  • 営業時間(土日祝):土日祝9時30分~21時(カット最終受付20時)
  • 定休日:不定休
  • 沿線:都営地下鉄大江戸線・東京メトロ半蔵門線
  • 最寄駅:清澄白河駅
Previous article

Saori Yamamoto(山本 さおり)

THNY by thankyou

New article

Mayuri Yamagishi(山岸 まゆり)

エステティック&シェービング Jasmin

理容師特集TOPへ戻る